平野紫耀&神宮寺勇太&岸優太、彼らがNumber_iで投げかけたカウンター 「GOAT」徹底考察

 平野紫耀、神宮寺勇太、岸優太からなるNumber_iが、1月1日にデビューシングル「GOAT」を配信リリースした。

 楽曲を聴いて最初に思ったことは大きくふたつ。まずは「おかえりなさい」――約7カ月、3人の歌声が聴ける日を待っていた。そしてもうひとつは、彼らがここから“アーティスト”として世界へ羽ばたいていくであろうこと。Number_iの音楽活動が始まることを多くの人が楽しみにしていただろうし、すでに期待は大きく膨らんでいたと思う。

 「GOAT」はそんな高まった期待値を遥かに超え、いい意味で予想を裏切ってきた。SHUN(FIVE NEW OLD)、MONJOE(DATS)、Pecori(ODD Foot Works)が作詞・作曲・編曲を担当した、全編ラップのHIPHOPソング。グループ結成時のYouTube生配信で、神宮寺が「曲から知ってNumber_iのファンになってくれたら嬉しい」という旨の発言をしていたことを思い出す。3人の低音ボイスに攻撃的なサウンド。予備知識なしで聴いたら「これ、誰が歌っているんだろう?」と感じそうな、今までの3人のパブリックイメージを覆す楽曲だ。

 なぜ、彼らはデビュー曲に「GOAT」を選んだのか。タイトルの「GOAT」とは、“Greatest Of All Time”の略であり、“最高到達点”や“史上最高”を意味するスラングだ。1曲目で「最高到達点」と謳うあたりに、今の彼らが詰まっているように思えるし、こだわり抜いた作品であることが伝わってくる。歌詞を見ていくと、〈君の前で夢叶える Me〉〈未知の領域まで Fly〉と、これから大きな夢を叶えていくという意志が込められているように思う。付け加えれば、1月1日をリリース日に選んだ点にも、“1”という数字――“ナンバーワン”や“オンリーワン”への想いが感じられる。

 楽曲リリースと同時に、児玉裕一が監督を務めたMVも公開された。洋画のようなスケール感に驚かされる一方で、スピーカーの音量段階が「GREAT→GREATER→GREATEST」になっていたり、3匹の山羊(=goat)の絵画が飾られていたりと、細かい仕掛けも光っていて隅々まで目を向けたくなる内容である。

Number_i - GOAT (Official Music Video)

 MVの冒頭、撮影スタジオのような場所でカメラの前に立つ3人。崩れかけている建物や、続くシーンで廊下に押しかけている記者たちは、〈間違いだらけの世界〉を表しているようにも思える。

 特に印象的なのは、2分34秒あたりからの逆再生の演出だ。映像が巻き戻されることで、冒頭からここまでの時系列が逆転していたことが示唆される。3人の服装に注目していくと、逆再生が始まる直前は、平野がピンク、岸が黄緑、神宮寺がカラフルと派手な装いだ。そんな着飾られた自分たちから、〈間違いじゃないこれが俺の Answer〉と答えを見つけた際に、白い服装へと変わる(「A.」が表示されるのが1分11秒なのもポイントだろう)。

 そのひとつ前の店内のシーンは、売り物のように価値を測られることの喩えかもしれない。監視カメラで見張られる窮屈な状況を抜け出し、廊下のシーンに戻ってきた3人は黒を基調とした服を着ている。これは「何にも染まらない」という意味にも捉えられるし、冒頭に押しかけていた記者たちが石像に変わっているのも、周りを気にせず自分の答えを信じていくことを表現しているように思える。

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