アイナ・ジ・エンドは只者ではなかった BiSH解散以降の大躍進、さらなる高みを目指す貪欲な姿勢

アイナ・ジ・エンド、2023年の活躍を総括
布袋寅泰 / HOTEI 「Andromeda (feat. アイナ・ジ・エンド)」【Official Music Video】

 上記以外の活動にも目を向けると、アイナがフィーチャリングボーカルとして他アーティストの作品に参加するケースは以前から頻繁にあったが、今年も布袋寅泰という超大物に呼ばれるなど依然として順調だ。また、今年新たな活動形態として加わったものとしては他アーティストへの楽曲提供が挙げられる。WACKの後輩グループ・KiSS KiSSの楽曲のみならず、映画で共演した松村北斗(SixTONES)のソロ曲も手がけるなど、職業ソングライターとしての飛躍を予感させる動きも垣間見えた1年であった。

 そんなアイナが1年を締めくくる大みそかというタイミングで世に送り出す1曲が、本日0時に突如リリースされた「帆」だ。海外クリエイターたちがコライトで生み出したシリアスで先鋭的なトラックに、アイナ自らが手がける挑戦的なリリックが躍動するパワフルなダンスチューンに仕上がっている。不敵なムードで穏やかに歌われるヴァースと、耳をつんざくような悲痛な叫びが響きわたるコーラスの振れ幅が鮮烈な1曲で、アイナのボーカルが本来持つ高い攻撃力と深い包容力の両面をいずれもマックスパワーでパッケージ。そこに“中途半端”の4文字は存在せず、「ぬるい音楽はもうたくさんだ」「もっと極端なものが聴きたい」と感じているリスナーは全員今すぐ座して聴き入る必要がある。

アイナ・ジ・エンド - 帆 [Official Teser Movie

 冒頭でも述べた通り、ここでのアイナの視線は未来だけを迷いなく見つめているようだ。そればかりか、〈いつまでここで燻るの〉〈走り出せない鎖でも 断ち切る〉〈恐ろしく怖いけれども行かなきゃ〉のように、今いるところにとどまることへの違和感が繰り返し綴られてもいる。上に述べてきたように、現在のアイナは第三者視点からは非常に順風満帆な表現活動を展開しているようにしか見えないわけだが、にもかかわらず今このタイミングで彼女がこのメッセージを世に訴えかけなければならない理由とはなんだろうか? その一端には、おそらく「他人の評価はさておき、まだまだやるべきことが何もできていない」というような感覚が彼女自身の中にあるのではないかと推測することができる。それが具体的に何を指すのかは、今後の彼女の活動を追っていけば徐々に明らかになってくるに違いない。

 なお、公式の紹介によると本楽曲は「独創的なダンスを取り入れたキラーチューン」なのだそうだが、本稿執筆時点ではMVなどの映像資料が手元にないため、視覚的な試みについては残念ながら何も言及することができない。しかし楽曲自体がこれだけ“極端であること”にフォーカスしたものである以上、ダンスにおいても相当に極端な表現がなされるであろうことは想像に難くないところだ。

 そうなってくると、俄然ライブパフォーマンスを観たくなるというのが人情というものだろう。まず年明け1月には、自身約2年ぶりにしてBiSH解散後、初となるワンマンライブ『BACK TO THE (END) SHOW』を東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて開催。さらに3月にはワンマンツアー『Grow The Sunset』が東名阪で行われることも決定している。アイナの掲げる“帆”は一体どこを向いていて、リスナーをどこへいざなおうとしているのか。ぜひライブ会場へ足を運び、直接その目で確かめてもらいたい。

アイナ・ジ・エンド「帆」
アイナ・ジ・エンド「帆」

■リリース情報
「帆」
2023年12月31日 Digital Release
配信サイト:https://aina.lnk.to/ho1231

本楽曲は「価格はあなた次第」と題し、SOUND ON LIVEで音源のダウンロードが可能。24時間限定でファンが新曲「帆」の価格を自由に設定することができる。

自由価格DLサイト:https://www.soundonlive.com/sound/JYYHj-Jal7h_nw-BqcjMh/%E5%B8%86

■アイナ・ジ・エンド Official
YouTube: https://www.youtube.com/channel/UCFPb0Vc0Cjd3MpDOlHPQoPQ
X(旧Twitter):https://twitter.com/aina_BiSH
Staff X(旧Twitter):https://twitter.com/aina_theend
Instagram:https://www.instagram.com/ainatheend_official/
Official Site:https://ainatheend.jp/

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