桑田佳祐&松任谷由実、音楽を通した“夢のような対話” コラボ曲に感じるお互いへのリスペクト 

桑田佳祐&松任谷由実、コラボの意義

 桑田佳祐・松任谷由実のコラボソング「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない) 2023」がリリースされた。

 日本のポップスシーンを45年以上牽引し続けてきた桑田佳祐と松任谷由実の奇跡のようなコラボレーションは、リリースが発表された当初よりSNS等でも大きな話題を呼んだ。本稿ではシングルおよび『ユーミン乾杯!!~松任谷由実50周年記念コラボベストアルバム~』に収録される形でのパッケージリリースに際し、本作の背景や魅力を改めて紐解いてみたいと思う。

桑田佳祐&松任谷由実 「Kissin’ Christmas (クリスマスだからじゃない) 2023」 (Special Lyric Video)

 「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない)」は、もともと桑田佳祐が中心となって企画された音楽番組『メリー・クリスマス・ショー』(日本テレビ系)のテーマソングとして制作された楽曲だ。同番組は桑田とユーミンはもちろん、明石家さんま、吉川晃司、米米CLUB、BOØWY、泉谷しげる、忌野清志郎、THE ALFEE、鈴木雅之、Char、小泉今日子……といった錚々たる出演陣が顔を揃えた伝説的な番組。豪華な出演陣はさることながら、その内容も出演アーティストの持ち曲やカバーの披露だけでなく、この番組のためのオリジナル楽曲が制作されるなど音楽的な充実度が非常に高かった。1986年、1987年とたった2回しか放送されず、その後ビデオやDVDなどでパッケージ化されなかったこともあり、ファンにとっては幻のような番組であった。

 とりわけ、「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない)」は、レコード化しないことが桑田によって明言されていたこともあり、番組と同じく幻の楽曲となっていた。後年『メリー・クリスマス・ショー』放送当時プロモーション用に配布された音源が、2012年にリリースされた桑田のベストアルバム『I LOVE YOU -now & forever-』に収録され、大きな反響を呼んだ。

 そんな「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない)」が35年以上の時を経てリメイクされたきっかけのひとつは、2018年末に放送された『第69回NHK紅白歌合戦』だろう。平成最後となった2018年の『紅白』、その“究極の大トリ”として番組の最後に登場したサザンオールスターズは「希望の轍」と「勝手にシンドバッド」の2曲を披露。後者では出演者がステージ上で入り乱れる展開に。その様が今でも忘れられない音楽ファンも多いだろう。中でも共にステージのセンターに立ち、腰を踊らせ抱き合いながら息の合った掛け合いを見せた桑田とユーミンの姿は、長年音楽シーンを牽引し続けてきたレジェンドとは思えないほど自然体で、その様にポップシンガーの真髄を見たような気持ちにさせられた。この『紅白』での桑田とユーミンの共演は、上述した『メリー・クリスマス・ショー』以来31年ぶりのことであり、再び桑田とユーミンの距離が近づく一因となる。その後もサザンオールスターズのツアー『LIVE TOUR 2019 「“キミは見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!”だと!? ふざけるな!!︎」 』の東京公演にユーミンが観客として訪れるなど、両者はその関係性を深めてきた。

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