福山雅治、FANTASTICS、羊文学、SKY-HI×Nissy、chelmico、BREIMEN……注目新譜6作をレビュー
New Releases In Focus
毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は福山雅治「想望」、FANTASTICS「STARBOYS」、羊文学「honestly」、SKY-HI×Nissy「SUPER IDOL」、chelmico「Question」、BREIMEN「乱痴気」の6作品をピックアップした。(編集部)
福山雅治「想望」
現代の女子高生・百合(福原遥)が太平洋戦争末期の1945年の夏にタイムスリップし、特攻隊員の彰(水上恒司)と恋に落ちるというストーリーの映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の主題歌として書き下ろされた「想望」。クラシカルなストリングスの音色、ファルセットを交えた叙情的なメロディ、曲の途中から登場する力強いトラックが一つになったミディアムバラードだ。歌詞の軸になっているのは、彰の百合に対する愛情。戦争という抗えない運命に翻弄されながらも、“大切な人を守りたい”“平穏な日々を送りたい”という切実な思いを抱えたまま飛び立つーーそんな相反する思いを含んだ感情を叙情豊かに映し出している。懐の深いボーカルも聴きどころ。そこには長崎出身の福山が持ち続けている、平和への強い願いも反映されているはずだ。(森)
FANTASTICS「STARBOYS」
まず耳に飛び込んでくるのは、煌びやかなシンセサウンド。さらにドープなベースラインが響き、徐々にトラックのスピードがアップ、そして〈I can change my universe〉から始まるサビに入った瞬間、高揚感は一気に頂点に達し、リスナーの心と体を気持ちよく解放してくれる。デビュー5周年の記念日である12月5日にリリースされたニューアルバム『FANTASTIC ROCKET』のリード曲「STARBOYS」は、FANTASTICS本来のポップネスと前向きなリリックが互いを高め合うアップリフティングな楽曲。アニバーサリーイヤーを迎え、さらに上昇していく意思を刻んだ記念碑的なナンバーと言えるだろう。ダンス、ボーカル、演技など、メンバーのポテンシャルが存分に体感できるレトロフューチャー的なMVも必見だ。(森)
羊文学「honestly」
3rdアルバム『12 hugs (like butterflies)』からの一曲。いくつかのコードを繰り返すだけのギターストロークがメイン。起伏ある展開は特に用意されていないため、塩塚モエカ(Vo/Gt)の歌声がいかに人を惹きつけるものであるかがよくわかる作りになっている。〈私のこの声は/君のためにあるんじゃないわ〉〈感傷的で上手い言葉も今の私にはないわ〉と突き放した歌詞は、〈なのにどうして?/いつもどこかが痛くて仕方ないの〉という告白に続く。その理由は曲中で語られることもないのだが、繊細に揺れながら、時には凶暴なくらいの迫力を発揮するボーカルワークがとにかく圧巻。上手く言葉にならないから音楽をやっている。その切実さが余すところなく刺さる。(石井)