乃木坂46・櫻坂46・日向坂46、新フェーズへ突入した2023年の飛躍を振り返る
2023年は、乃木坂46、櫻坂46、日向坂46の坂道3グループの飛躍が目立つ一年だった。乃木坂46と櫻坂46の『第74回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)出場、日向坂46の2ndアルバム発売など、今年の下半期も年末にかけて怒涛の勢いとなっている。本稿では、坂道3グループそれぞれの今年の活動を振り返ってみる。
乃木坂46
乃木坂46にとっての2023年は、新時代の幕開けとなった年だった。最後の1期生となっていたキャプテン・秋元真夏が2月26日に行われた『乃木坂46 11th YEAR BIRTHDAY LIVE』最終公演をもって卒業し、3期生の梅澤美波が3代目キャプテンに就任。また、最後の2期生であった鈴木絢音も3月28日に卒業し、乃木坂の黎明期からブランドを作り上げてきた1、2期生が完全に消滅した。
梅澤キャプテン新体制のもと、3月29日にリリースされた32ndシングル表題曲「人は夢を二度見る」は3期生の久保史緒里と山下美月がWセンターを務めた。8月23日にリリースされた33rdシングル表題曲「おひとりさま天国」では、5期生の井上和がセンターに抜擢。どちらの作品にも表れているように、新世代エースが名実ともに誕生。初めて3、4、5期生のみで『乃木坂46 真夏の全国ツアー2023』を巡り、本当の意味での“新生 乃木坂46”がスタートした印象を与えた。
12月6日リリース予定の34thシングル表題曲「Monopoly」では、4期生の遠藤さくらと賀喜遥香がWセンターを務める。“新生 乃木坂46イヤー”を締め括るのが、これからグループの中心となっていかなければいけない4期生というのも、彼女たちの覚悟と未来を感じさせる。
特に昨年加入した5期生は、日本テレビ『新・乃木坂スター誕生!』『超・乃木坂スター誕生!』でそれぞれの個性も確立。井上の「おひとりさま天国」でのセンター抜擢をはじめ、表題曲への選抜入りも増え、先輩たちと並んでも遜色ない人気と実力を証明した飛躍の年だった。それだけ層が厚くなったことで来年はどの期が覇権を取るのかが楽しみな一年となりそうだ。
櫻坂46
櫻坂46にとっての2023年は、櫻が返り咲いた快進撃の一年に。今年最初のリリースとなった2月15日発売の5thシングル表題曲「桜月」は、二期生の守屋麗奈がセンターに抜擢。だが、表題曲に並ぶ勢いで今年1月に加入したばかりの三期生によるカップリング曲「夏の近道」にも注目が集まった。そして、6月28日リリースの6thシングル表題曲「Start over!」は、これまで溜まっていた鬱憤が爆発するようなパンチフレーズが並ぶ楽曲となった。“start over”とは“やり直す”という意味があり、この楽曲では“櫻エイト制”を撤廃し、活動休止中の遠藤光莉を除いた一、二期生全員が参加。パフォーマンスにおいても、欅坂46時代を彷彿とさせるエモーショナルな表現にもう一度立ち返ろうという意気込みが伝わるものでもあった。センターには、二期生の藤吉夏鈴が満を持して表題曲初センターを務めた。楽曲の世界観と彼女の表現力が見事重なったことも勢いを後押しし、シングルは自己最高初週売上となる43.9万枚を売り上げ、YouTubeのMV再生数も上昇した。
10月18日リリースの7thシングル表題曲「承認欲求」では、二期生の森田ひかるをセンターに、その両脇を三期生の谷口愛季と山下瞳月が固めるという異例のスピード抜擢。谷口と山下はダンスで実績のある実力者のふたりでもあり、森田とも身長が近いことが彼女のさらなる魅力を引き出すことに成功した印象が強い。「Start over!」の勢いそのままに新世代を投入したシングルは前作を超える売り上げを記録。その勢いは本物だ。
人気に拍車をかけたのは、精力的なライブ活動だろう。全国ツアーはもちろんのこと、7月にフランス・パリで開催された『Japan Expo Paris 2023』や8月のマレーシア・クアラルンプールでの『Japan Expo Malaysia 2023』への出演で海外公演を成功させ、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023』や『ラヴィット!ロック2023』、特に若い世代のオーディエンスが集まる『東京ガールズコレクション』や『Seventeen夏の学園祭2023』といったイベントでのライブは影響力も大きく、地道な活動が新規ファンを増やす結果に繋がったとも言える。
今年はエモーショナルな方向性の楽曲とMVの数々、数多くのクリエイターが結集した『櫻坂46展「新せ界」』を開催するなど、これまで以上に芸術祭の高いパフォーマンスグループとしてのイメージや世界進出など、グループのブランディングに一層力を入れ、メンバーたちも多くの期待に応えたこと、そしてファンも含めてスタッフとメンバーが同じ方向を向き、一体感を生み出したことが年末の『紅白歌合戦』返り咲きに繋がった。11月25日、26日にはZOZOマリンスタジアムで『3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE』を開催。この勢いは来年も止まらないだろう。