水瀬いのり、目まぐるしく変化するアートな世界観を構築 4年ぶりの声出し解禁ツアー最終公演

水瀬いのり、全国ツアーファイナルレポ

 するとステージ背景が絵本のようなムードの映像に切り替わり、花柄の白ワンピースに赤いアウターを合わせた“童話スタイル”へと装いを変えた水瀬が「Well Wishing Word」「While We Walk」「Winter Wonder Wander」の“WWW三部作”を立て続けに披露。このうち「Winter Wonder Wander」では降雪を表現する背景映像に合わせてアリーナ上空のリアル空間にも雪が舞う演出が施され、より一層幻想的な空間が創出された。そして本編ラストに選ばれたのは、「皆さんと一緒に完成させたい一曲」として披露された水瀬流ライブアンセム「僕らは今」だ。サビの合いの手や大サビの〈Believe in me, believe in you/Believe in us, believe in love〉パートなどで会場中から声を枯らさんばかりの大合唱が発生すると、水瀬はそれを受けて満足そうな表情を浮かべる。相乗効果的に彼女の歌声はさらに伸びやかさを増していき、絶頂とともにフィナーレを迎えた。

 轟音のようなアンコールの声と手拍子が鳴り響くなか、Tシャツ姿となった水瀬がくらりちゃんを模した車体デザインのフロート(通称「くらりちゃんフロート」)に乗り込んで再登場。アリーナをゆっくりと一周しつつ、周囲のオーディエンスらに弾ける笑顔で手を振り、ハートのポーズを贈り、エアハグなども交わしながら「Morning Prism」「ココロはMerry-Go-Round」を心のこもった丁寧な歌い回しで届けていく。そして「Ready Steady Go!」でステージは一旦幕引きとなるも、客席からの盛大な「もう1回!」コールに応え、水瀬およびバンドメンバーはすぐさま舞台上へと舞い戻ってきた。

 拍手と歓声が渦巻く客席に向かって、隙あらば感極まって涙があふれそうになるのを必死でこらえながら「歌えるんでしょうか、私は(笑)」と朗らかに話す水瀬。「皆さんもぜひ自分の個性だったり自分の好きな色、自分らしさを大切にしながら、聴いて歌っていただけたらうれしいです」との言葉に続いて、ラストナンバー「Catch the Rainbow!」を繰り出す。会場全体が虹を思わせる色とりどりのペンライトの光で埋め尽くされるなか、晴れやかな笑顔で歌い切った彼女は「スクラップアートツアー、無事完走ー!」の絶叫とともに幸福感に満ち満ちたステージに幕を下ろした。

水瀬いのり 『Inori Minase LIVE TOUR 2023 SCRAP ART』 (写真=加藤アラタ/三浦一喜)

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