Dios、本領発揮の充実ステージ バンドの強みも新たな可能性も見せつけた『&疾走』ファイナル

Dios『&疾走』ファイナルレポ

 Ichikaのギターとササノのピアノが繊細な音を奏でるなか、たなかが歌い出したのは「The Room」。先ほどまでの迫力あるアンサンブルとは一味違うDiosの魅力や音楽的な純度の高さが如実に伝わってくる。そしてササノのピアノとのごくシンプルなアレンジで「試作機」を披露。たっぷりと余韻を味わうと、今度はIchikaの独壇場だ。鮮やかな指遣いで奏でられるギターソロは、哀愁と激情の間を行き来しながらじわじわとこちらの心に侵入してくる。そこから突入した「Struggle」ではたなかのマイクとIchikaのギターによるガチンコのセッションも繰り広げられ、改めてDiosというバンドの“骨と肉”の強靭さをオーディエンスに訴えていった。それを間近で見ていたササノも「ありがとうございます」と思わず言ってしまうようなスリリングな演奏は、間違いなくこの日のハイライトの一つだった。

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 浅野直之の描いたDiosのキャラクターをラフも含めてスクリーンに映し出して改めて紹介すると、ライブは終盤に入っていく。ハードなギターリフと山本によるパワフルなリズムがロックに展開する「天国」で一気に空気を引き締めると、「花束」ではオーディエンスの歌声も広がりさらなる一体感が醸成されていく。「ラブレス」「Virtual Castle」と畳み掛け、ラストは「&疾走」。たなかのガイドに誘われ、フロアとのコール&レスポンスが巻き起こる。アルバムのテーマも、今のバンドの状態のよさもはっきりとわかる、鮮やかなフィニッシュだった。

 アンコールでは新しいアートワークとともに新曲のリリースを発表し、11月15日にリリースされる「スタンダロン」を初披露。たなかとササノのツインボーカルという新機軸を示す楽曲で、もともとボーカリストでもあるササノの声がさらにDiosの世界を押し広げていく。大胆でアッパーなトラックの展開からは、未来をゴリゴリと切り拓いていくような力強さが感じられた。おそらくオーディエンスも同じように感じたのだろう。演奏を終えてIchikaが「最高?」と水を向けると大きな歓声と拍手が起きたのだった。そして最後は「また来世」。「Diosでした、今日は本当にどうもありがとう!」というたなかの一言とともに、文字通り「疾走」したツアーは終わりを迎えたのだった。

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