乃木坂46に齋藤飛鳥が残したものとは何だったのか 過去と未来を繋いだ卒業コンサートを振り返る

 乃木坂46のBlu-ray&DVD『NOGIZAKA46 ASUKA SAITO GRADUATION CONCERT』が、10月25日にリリースとなった。

 今年5月に2日間にわたって東京ドームで開催された齋藤飛鳥の卒業コンサートをパッケージに収めた本作。X(旧Twitter)をはじめとするグループのオフィシャルSNSでは、「#わたしの好きな飛鳥さん」と題した、後輩メンバーが選んだ名場面とコメントが順次公開されており、10月28日、29日には同じ時間に同作を再生して一緒のタイミングでコンサート映像を鑑賞をする「#飛鳥と鑑賞パーティー」といったさまざまな企画が行われている。

 与田祐希が涙を堪えながら齋藤に最後のちょっかいをかけた「ジコチューで行こう!」の間奏パート、賀喜遥香が冠の振りを齋藤の頭の上にちょこんと乗せる微笑ましい「君に叱られた」といった、日々厳選された映像とエピソードが投稿されていくなかで、思わず目頭が熱くなったのが「他の星から」を齋藤とペアで披露した遠藤さくらが、曲が終わっても齋藤のほうを振り向くことができずそのまま涙を隠す、卒コン初日のワンシーンだった。

 「飛鳥の子」と言われるほどに、齋藤を慕い、かわいがられてきた遠藤。先日YouTubeに公開された櫻坂46 山﨑天との沖縄ロケでもその話題が振られ、遠藤は「今もそうでありたい」と変わらぬ尊敬の念を滲ませる。今年9月に開催された『第37回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2023 AUTUMN/WINTER』の会場で初めて齋藤と対面したという山﨑は、「さくをよろしくね」と言われ、「こちらこそ、お母さん」と返したという話を遠藤に明かしている。

【さくさんぽ×てん旅】遠藤が仲良しな山﨑天さんと沖縄を満喫♪【1日目】

 齋藤も認める自身の“エキス”を色濃く継承している遠藤は、今夏開催された『乃木坂46 真夏の全国ツアー2023』にて、座長を務めた井上和をはじめとする後輩の5期生メンバーを先輩として見守る側に立っていた。かつて齋藤が同期の1期生や後輩メンバーを見送っていったぶんだけ一歩ずつ成長していったように、遠藤もまた齋藤という存在からの親離れをしたことによって、この夏で大人びた顔つきになっている印象がある。

 きっと観た人の数だけ「#わたしの好きな飛鳥さん」はあると思うが、筆者がひとつの場面を挙げるとすれば、それは初日のオープニングから「ここにはないもの」までの流れになる。今も語り草になっているドラムソロからそのまま「ジコチューで行こう!」へと突入していく2日目のオープニングは、プロモーションするうえでも画としてもインパクトのある姿なのは間違いないが、メインステージから姿を現し花道を歩いていった先のセンターステージで深々とお辞儀をし「ここにはないもの」のイントロが鳴り始めるという初日の演出は、2017年2月に行われた橋本奈々未の卒業コンサートをオマージュした形である。関係性や立場こそ違えど、かつての齋藤にとっての橋本も、遠藤にとっての齋藤のような“姉”または“母”とも言える存在にあった。乃木坂46の過去と今とその先の未来を繋ぐ、そんな卒業コンサートであり、そのメンバーが齋藤飛鳥だったように思える。

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