Dumyy Lou、“ROCK HOMIES”を名乗る理由 ロックマインド溢れるモウリケイタが「拝啓、俺」で描いた自分との戦い

Dumyy Louが描いた自分との戦い

「拝啓、俺」は聴いてくれた人が自分と戦うための材料になったら

Dumyy Lou

――ミニアルバムもそうだったんですけど、8月から3カ月連続でリリースしているシングルも、それこそ曲ごとに色が全然違うものになっていますよね。

宮田:そうですね。ちょっとやりすぎちゃった。反省しています(笑)。

――たとえば「SHIBUYA CROSSING TOKYO」とかはロックなんだけどヒップホップのニュアンスもあったりして。モウリさんが曲を作ってくる時点でもああいう要素はすでに織り込まれているものなんですか?

モウリ:どうだろう?

宮田:モウリくんが書いてくる曲はあくまでモウリくんが書いてくる曲で、それをどういうふうにサウンドメイクしていくかはメンバーで話したり、僕が「こうしたい」って言ってそうなっている感じ。だから「いい素材」みたいな。

――じゃあ、逆にモウリさんからすると自分で作った曲がいろんな人が関わってくることによってどんどん形を変えていくという感覚なんですね。

モウリ:そうなんですよ。それがおもしろくて。

宮田:でもやっぱり食べたくないものは食べたくないって言うから。「この素材はチンジャオロースーにはしてほしくないです」みたいな。

――今日は中華たとえでいくんですね(笑)。

YAMADA:ごま油だから(笑)。

宮田:(笑)。そういうのはあるから。たぶん彼の中でのロックンロールかロックンロールじゃないかっていう判断基準があるんだと思うので。でも彼も常にアップデートされているから、今後その基準も変容していくだろうし、常にそれをワクワクしながら待っているという感じですね。

――プレイヤーとしては曲ごとに全然違うものを要求される部分もあるわけじゃないですか。それはどうですか?

香取真人
香取真人

香取:特に苦痛に感じたことはないですけどね。

宮田:香取はギターがうますぎるんですよね。

YAMADA:「息を止めて弾いてくれ」って言われてたよね。

香取:あ、言われた。

――それはどういうこと?

宮田:なんか余裕が出ちゃうんですよ。無呼吸になっているとか、身体的に切迫してる状態こそが音楽的な切迫感を生むっていうことがあるんです。そういうのが欲しかったんだけど、やっぱり彼はうまいから……。

――ああ、「できるからって余裕こいてんじゃねえぞ」っていうことですね(笑)。

宮田:できないようになにか制約を設けようと思って「息止めて弾いて」みたいな。彼は上手いから、そこは全力で信頼してるんですけど、ロックンロールマインドってもっとそうではないところにあるかもしれないなと思うので。

TETSUYUKI YAMADA
TETSUYUKI YAMADA

YAMADA:僕はいろんな曲を叩きたいタイプなんで、むしろ楽しませてもらっているし、リファレンスがちゃんとあるので、おのずと「やらないほうがいいよね」というものが決まってくるんですよ。だからめちゃくちゃ楽させてもらってるし、しかも好き放題入れさせてもらってるんで。あとやっぱり、「エモくなるポイント」が各曲に絶対にあるんですよ。レフさんもみんなもそこへの嗅覚が鋭すぎるというか、そこに各々アプローチしていくと、結果ものすごい熱量の曲になっていく。そこはその辺のバンドには出せないくらいのこだわりがある気がします。

宮田:そういう「エモくなる瞬間」みたいなものもモウリくんのなかにあって、うまく言語化できないこともあるんですけど、それをひも解いて音楽的に解釈していくと「ああ、そこにエモポイントあるね」とわかったりする。それで僕らも新たな感性をもらえるんですよね。

――モウリさんはどんなエモーションから曲を作ることが多いんですか?

モウリ:作る時はとくに決めていなくて、普通に街を歩いていて急に降りてくる時もあるし、適当にギターを弾いてたらできる時もある。「これは絶対いい曲になるな」っていうのは、だいたい何も考えていない時に降ってくることが多いですね。でも歌詞は時間がかかる。曲ごとに伝えたいコンセプトがあるから、聴いた時にそれが一発でわかるかどうかみたいなことは結構考えてます。

――モウリさんの歌詞はすごくオリジナルな言語感覚をもっている感じがします。「SHIBUYA CROSSING TOKYO」も、渋谷の風景はよく知っているはずなんだけど、モウリさんの視点を通すとこう見えるんだ! という驚きがありました。

モウリ:渋谷はちっちゃい時からよく遊びに来てて、家も近いんですよ。そういう俺からしか見えないものがあるなと思って。昔好きだった渋谷と今の渋谷はなんかちげえなっていうのもあるし、俺は渋谷で路上ライブとかもしているんですけど、まずは渋谷をど真ん中にしてロックが広まっていったらいいなって思うし。そういう、俺が思ったことだけを書きました。だからひも解いていったら、本当に俺の半径1メートル以内のことばっかりかもしれないですね。

――そういう意味では今回の「拝啓、俺」は半径1メートルどころじゃない歌じゃないですか。「俺」のことしか書いていないっていう。これはモウリさんにとってはどういう曲ですか?

モウリ:対自分というか、自分との戦いって思うことが多いから、そのことを書けたらいいなと思って。やりたいことがあるけどできない、という自己嫌悪みたいなものってよくあるけど、俺はそれを曲にできなかったら絶対に報われないと思ってたんですよ。「葛走とライター」もそうだし。ずっと言いたかっただけど言葉にできなかったことを初めて曲にできたのが「葛走とライター」なんですけど、「拝啓、俺」もその感じで。考えて作ったというよりは、うわーって悩んじゃってる時に急に生まれたものをうまく形にできたかなと思います。でもそういう俺の気持ちを聴いてほしいわけじゃなくて、聴いてくれた人が自分と戦うための材料になったらいいなと思うんです。聴いたことで救われるまではいかなくても「こういう人もいるんだな」って思えたら、それだけでちょっと楽になる部分があるじゃないですか。

――自分の弱い部分や心の内のもやもやしたものを書き連ねてはいるんですけど、確かにおっしゃったように「わかってくれよ」っていう感じじゃないですよね。

モウリ:そう、別にわかってほしいわけじゃないんですよ。

――アレンジはすごくシンプルなものになっていて、かなり剥き出しですよね。

宮田:こうやって等身大のブルースを歌う楽曲に対して、サウンドプロデューサーとしての観点でいうといろんな要素があると思っていて。この楽曲を聴いた時に、これをすごく整地していくっていうのはやってはいけないことだと思ったんです。最初は弾き語りのデモだったんですけど、もうそこにはある程度、誰がどう聴いてもそうなるっていうバンドサウンドが見えていたので、それをシンプルに、真っ直ぐにやろうって。一般的にはクリック、いわゆるメトロノームを聴いてきれいに整理してレコーディングしていくんですけど、今回はもうそれも聴かないでやることにして、できる限り歌と一緒にドライブしていくものにしたいなって思っていました。大変でしたけど逆に諦めがついて楽っていうか、ちょっとしたミスもそのまま入れているし、やっぱりいいなと思いますね。

モウリ:めちゃくちゃいいですよね。いろんな意味でストレートなロックンロールになってるし、俺がやりたかった、好きなサウンドもてんこ盛りだったから、リリースするのが楽しみですね。

――この曲は〈拝啓、俺/何をやってもできない〉と始まりますけど、これはモウリさんがそう思っているということなんですか?

モウリ:そうっすね。常に思ってるんですよ、自分の理想に今いないって。そういう気持ちは潜在的に自分の中にあるから、俺からしたらずっと普通なことなんです。

――そういう気持ちを抱えているなかで、モウリさんがロックンロールと出会ったことにはどんな意味があったと思いますか?

モウリ:根本的なものは変わってなくて、ステージに出て、自信を持ったフリをするのがうまくなっただけなんです。別の人になることで自分のなりたいロックスター像に近づけるし。逆に普段の自分を持っていっちゃうと、やっぱりできないんですよ。どっちも自分だけど、それを合わせすぎると意味がない。そういうところを見つけることができた。だからこの曲は「普段じゃない自分」が「普段の自分」を歌うみたいな感じなんですよね。

――わかりました。ではDumyy Louとして、ここからどういうふうに進んでいきたいと思っていますか?

モウリ:俺の目標は、ロックをもう1回流行らせて、その先頭をDumyy Louが走っている、みたいな状態にしたいなと思ってます。

宮田:いつ売れても、いつ見つかっても驚かないって思ってます。そういうものを作っている自信はあるし。ただ虎視眈々とやっている感じです。

「拝啓、俺」
「拝啓、俺」

■楽曲情報
タイトル:拝啓、俺
リリース日:10月18日(水)
アーティストページ:https://oikosmusic.jp/pages/dumyylou
配信リンク:https://lnk.to/DumyyLou-Dear-me
※詳細は下記のnoteにて
https://note.com/oikos_music/n/n124313541213

■OIKOS販売情報
購入先:https://oikosmusic.jp/products/dumyylou-dear-me
販売日:2023年10月18日(水)20:00オープン
提供内容:
<Platinum>
限定5個|24,200円|特典:収益分配率: 5.0 %, (Vo)モウリケイタ手書き歌詞カード    
<Gold>
限定10個|6,600円|特典:収益分配率: 1.0 %, (Vo)モウリケイタ手書き歌詞カード  
<Silver>
限定50個|1,650円|特典:収益分配率: 0.2 %, (Vo)モウリケイタ手書き歌詞カード
※OIKOSとは、アーティストを応援しながら音源の収益や特典などが得られるサービス
※詳細は右記にて紹介:https://note.com/oikos_music/n/n30f6bea589d0

■ライブ情報
タイトル:Rock'n'Roll in Tokyo vol.3
日  時:2023年10月24日(火)18:00 OPEN / 18:30 START
会  場:TOKIO TOKYO
出  演  者:Dumyy Lou(主催)、Am Amp、BACKSHOW、WashiFura
チケット:前売り券 0円(+2Drink)
     当日券  0円(+2Drink)
※詳細は下記のnoteにて 
https://note.com/oikos_music/n/ne841602605c8

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