FRUITS ZIPPER、REIRIE、Juice=Juice……それぞれの想いを乗せた声出し解禁後初の『TIF』を振り返る

声出し解禁後初の『TIF』を振り返る

 日本の夏は年々暑さの最高値を更新し、ゲリラ豪雨も度々起こる亜熱帯気候のようです。そんな真夏、8月4日から6日にお台場で開催された『TOKYO IDOL FESTIVAL 2023』(以下、TIF)は、コロナ以降の規制が今回から緩和され、声出し・ジャンプが解禁。しかし、最も大きいメインステージ・HOT STAGEは灼熱の野外。激しい雷雨により一部ステージが中止となった場面もありました。観客も出演アイドルもスタッフも、命懸けの三日間。

「かわいいところ」だけじゃなかった……!

<FRUITS ZIPPER>
8月5日 SMILE GARDEN / 8月6日 FESTIVAL STAGE

 TikTokやYouTubeの画面越しに観ていてフレームに収まるコンパクトな動きと思い込んでいたら、実際に目にしたのはステージからはみ出さんばかりの激しいダンス、二次元と現実の鮮やかなギャップに撃ち抜かれました。

 目の前で飛び跳ねる足のがっちりした筋肉にあらわれる、蓄積された努力。綺麗で可愛い女の子達がただそこに居るだけでもうこの世の奇跡なのに、それだけでは「かわいい」を一身に背負ってステージに立ち肉体で表現するアイドルにはなれません。想像を絶する努力と日々の鍛錬の積み重ねが、数十分のステージに凝縮されていました。全員が、“今この瞬間、私たちが世界中で一番かわいくて輝いてるでしょ!”と全身全霊で主張する圧の強さと説得力。

 エンターテインメントレストラン『KAWAII MONSTER CAFE HARAJUKU』の元パフォーマーで、空色担当・真中まなさんの涼やかな美貌と、実際の身長よりも大きく見えるキレキレの動きに心掴まれました。

 ライブの最後に全員でしっかりとお辞儀をした後、去り際にもう一度、黄色担当・早瀬ノエルさんがお辞儀を重ねる姿に、一つひとつのステージを大切にする心が表れています。

TIF

<lyrical school>
8月6日 SKY STAGE / HEAT GARAGE

 現体制初出演、minan以外のメンバーは初めて立つTIFのステージというアウェイの場でも、ライブが進むにつれて客席のボルテージを徐々に高めていき完全にホームにしてしまう様が圧巻でした。ディッキーズのチノパンをウエスト折り返し履きでトレンドを押さえた男女混合グループの若者たちが、好きに踊って音楽に身を任せ夏を謳歌している日本、捨てたもんじゃないね……と幸せな気持ちになります。

 双眼鏡でガン見した開襟シャツの下に覗くminan様の輝くうつくしい腹筋は、もはや拝みたくなるありがたさでした。

TIF

<PANDAMIC>
8月4日 DOLL FACTORY

 メンバー全員が10代でもすでにベテランの貫禄を持つPANDAMIC、他に類を見ないクールな衣装を身に纏って、攻撃的なまでに激しい音に乗せたダンス。とんでもない体幹の強さをサラッと見せつける「Mirror」の振り付けは最早匠の技です。派手なアクロバットでなくともさり気なく見せる身体能力の高さ、その衣装と同じく、“粋”な美意識が感じられました。

 観客をのびのびと楽しませてくれるステージは、メンバー全員のアイドルとしての日々の鍛錬と磨き抜かれた努力が土台にあってこそ実現するのだと、あらためて気づかされました。

TIF

アイドルを続ける覚悟

<REIRIE>
8月5日 HOT STAGE / FESTIVAL STAGE

 かつてLADYBABYとして共に活動した二人が再びスタートさせた、黒宮れい・金子理江の最強タッグ。縷縷夢兎の衣装を纏った黒兎と白兎が6年ぶりに二人揃ってTIFに出場し、最も大きなHOT STAGEすら狭く感じさせました。

 ハグする“れいりえ”、手を繋ぐ“れいりえ”、見つめ合いニコニコする“れいりえ”……永遠に見ていたい!と、願わずにはいられません。二人が同じフレームに映るだけで泣いてしまい、体内の貴重な水分がバンバン放出されました。

TIF

<寺嶋由芙>
8月6日 DOLL FACTORY

 「やりたい曲たくさんあるから、TIF MIX作ってきちゃったの~!」と宣言し怒涛のメドレー、お馴染みの自己紹介「古き良き時代から来ました。まじめなアイドル、まじめにアイドル」は曲のイントロに入れ込み、最後に「ハロプロに憧れ続けてきた私がなんと、つんく♂さんに作っていただきました!」と新曲「大宇宙の無限愛」を披露。完璧に淀みなく流れるような20分間のステージ。かつてハロー!プロジェクトのオーディションに挑戦していた女の子が、ソロアイドル10周年を迎えて憧れのつんく♂プロデュースで新曲をリリースなんて、朝ドラ化してほしい泣かせるエピソードです。本当に時代を超えて来たかのように歳を重ねても変わらぬ美しさのゆっふぃー。細く長い手足と華奢な体躯に揺るぎない意志の強さが宿った健やかな笑顔のまま、おばあちゃんになってもアイドルでいてほしいです。

TIF

《東京アイドル衣装コレクション》

3日間で目にした沢山のアイドル衣装。この夏心に残った衣装たちをご紹介します。

1:FRUITS ZIPPER(真中まな)

 このひと夏のためだけにyushokobayashi氏が手がけた、特別感あふれるアレンジTシャツ。フリルやレースにビーズやリボンで賑やかに縁取られた、「原宿発NEW KAWAII」を象徴するグループにふさわしい世界に一つしかないTシャツは、そのままアートピースとして展示されても違和感のないスペシャルな存在感。けれど、やはりアイドル衣装はステージの上でこそ最も輝きます。

 Tシャツに大きくプリントされた名前で、「あ! あの子かわいい……」と感じてから名前を調べるまでの時間が短縮される、実益とオシャレを兼ね備えた衣装になっていました。

2:ラフ×ラフ(齋藤有紗)

 アメコミ風の文字がくっきりプリントされたテキスタイルに、涼しげで健康的な露出。画面映えとステージ映えが両立した、夏の強い日差しにも負けないインパクトの衣装。初めての野外ステージ・SMILE GARDENでライブ中にゲリラ豪雨に襲われた中でも、しっかり歌いきり大喜利をやり切ったメンバーの勇姿と、汗と雨でドロドロになっても全く崩れないどころか輝きを増してしまう齋藤有紗さんの美しさに感服しました。

3:りんご娘(金星)

 50年代ロカビリードレス風の大きなドット柄ワンピース、水玉模様の中に隠れたりんごを見つけた時のうれしさ! この衣装で歌われる「SNOW MONSTER」のレトロフューチャー感あふれる音、灼熱のお台場で凍てつく雪景色を想う奇妙さに虜になりました。ご実家が林檎農家でいらっしゃる金星さんの、まっすぐな笑顔と、TIF最後のステージで感極まって涙する姿のピュアさに惹きつけられました。

4:パラディーク(望月愛実)

 白いビッグサイズTシャツにメンバーカラーのサテンリボンが爽やかに映えます。バレリーナのトゥシューズのような編み込みリボンやラメ入りレースが、日差しに反射しキラキラ輝いて、心ときめく衣装。

 10年前、小学生の頃からTIFに出演しており、きゅるきゅるとした小動物のような可愛さだった望月愛実さんが、すっかり綺麗なお姉さんになり、青空の下で堂々と歌声を響かせる姿を目撃できました。

TIF

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