≒JOY、1stコンサート『初めまして、≒JOYです。』で描いた未来 確かな成長を見せて新たなスタートへ
≒JOYは今、日々急成長を遂げている。9月3日にパシフィコ横浜 国立大ホールで開催された≒JOY 1stコンサート『初めまして、≒JOYです。』は、≒JOYにとっての1stコンサートとは思えないほどに完成度の高く、それでいて未来を思い描かせてくれる素晴らしい公演だった。
指原莉乃がプロデュースを手がける=LOVE、≠MEに続く第3のアイドルグループとして昨年3月にお披露目された≒JOY。その夏に富士急ハイランド コニファーフォレストで行われた=LOVE、≠MEとの合同コンサート『イコノイジョイ 2022』でステージデビューを飾り、同年11月には初の単独公演『≒JOY特別公演』を、今年6月には舞台 ≒JOY☆FAIRY LIVE STAGE『ミルモでポン!』を経験するなど、その都度確かな成長を見せてくれていたのはもちろんだが、観るもの皆が口を揃えて彼女たちの成長を強く実感したと語るのが今年の『イコノイジョイ 2023』。中でも、3rd Song「超孤独ライオン」でのメンバー12人の気迫は、=LOVE、≠MEそれぞれのファンをも魅了。開催から10日後に、「超孤独ライオン」のライブ映像がYouTubeに公開されているのは、その反響の大きさ、評判の良さを表している。
=LOVE、≠MEが持っていなかった≒JOYだけの色を与え、ライブ独自の進化を遂げてきた「超孤独ライオン」。得も言われぬ期待に満ちた空気がこの日も会場には満ちていたが、結論から言えば、『イコノイジョイ 2023』を見事に超えていったパフォーマンスだと筆者は感じた。「超孤独ライオン」は、ゴリゴリのハードロックのサウンドに乗せて、メンバー各々が方言を混じえたセリフを入れていくのが特徴だ。その出だしのセリフを言う山野愛月が直前で足をつってしまい、ここでは参加できていなかった。そのパートを急遽、髙橋舞が繋いだのだが、それはまるでライオンが吠えるかの如く、気合いに満ちたパフォーマンスだった。そこから江角怜音の〈おもんないな!〉、市原愛弓の〈邪魔っちゃけど!〉といったセリフへと流れていくが、髙橋のスタートがなければあれほどまでのピリピリとした緊迫感、さらに一体感は生まれなかっただろう。山野がステージに出られなかったのは残念ではあるが、その逆境をプラスに変えたこの日限りのパフォーマンスと言えよう。
加えて「超孤独ライオン」は大西葵と村山結香、小澤愛実と藤沢莉子、逢田珠里依と江角といった様々な組み合わせでのハモリが≒JOYの歌唱力の高さを表してもいる。例えば「「君の音だったんだ」」(≠MEカバー曲)では大信田美月をセンターにして逢田と大西が、「あの子コンプレックス」(=LOVEカバー曲)ではセンターを務める大西と逢田が息の合ったハモリを聞かせてくれた。ここまで頻繁に名前が登場している大西は、ソロで「きっかけ」(乃木坂46カバー曲)を歌唱した。表情や歌声だけでなく身体全体から緊張している様子が感じられたが、その緊張を強い気持ちでグンッと乗り越えていくのが分かる伸びやかな歌声、真っ直ぐな表情は胸を打つものがあった。
天野香乃愛は「それでも好きだよ」(指原莉乃カバー曲)をパフォーマンス。『≒JOY特別公演』から披露している「いらない ツインテール」(=LOVEカバー曲)にて、天野はかつての齊藤なぎさのポジションを担当しており、彼女と同じ“王道アイドル”としての道を歩んでいることは明白だ。だが、その王道がある種アイドルとしては最も険しい道のりであることも事実。≒JOYの最年少にして、「それでも好きだよ」を愛らしく、そして堂々とパフォーマンスする天野に確かな覚悟を感じた。
ほかにも江角、藤沢、村山での「野蛮な求愛」(AKB48カバー曲)ではダンスメンバーを打ち出しつつ、筆者がその選曲に驚いたのが「暗闇」(STU48カバー曲)だった。市原をセンターとした、逢田と小澤の3人でのユニット。この日のセットリストに入ってはいないが、≒JOYが初期からライブで披露してきた小澤センターの「愛を知る」(ラストアイドルカバー曲)が先にあり、市原と小澤それぞれの思いが違うのはもちろん、曲調も正反対と言える。先述した大西の「きっかけ」に匹敵するほどに、市原の表情からは色濃く緊張が感じられたが、同時に強い覚悟を持って「暗闇」を歌っていることも伝わってきた。彼女がセンターを務める6th Song「大空、ビュンと」のラストには、〈遠くで頑張る 私見てて。〉という歌詞があり、不思議とまた違った意味合いに筆者には聞こえてきた。