リアルサウンド連載「From Editors」第23回:ガメラは表情が魅力の怪獣だ 17年ぶりの新作『GAMERA -Rebirth-』を観て

 『GAMERA -Rebirth-』に話を戻すと、本作には、昭和ガメラシリーズの敵怪獣たちが新たなデザインとなって登場します。当時は着ぐるみ感満載だった怪獣たちが、スタイリッシュに生まれ変わって躍動するだけでもう大興奮でした(ジグラの滑らかな泳ぎ、ギロンの体操選手並みの身体能力たるや!)……と観ていくうちに、そういえば昨年の映画『シン・ウルトラマン』にも同様の試みがあったことを思い出しました。昭和の怪獣をリメイクし、1話ずつストーリーを繋ぎ直していく展開や、過去のシリーズの設定をバランスよく踏襲しつつ、今まで映像化されていなかった描写を織り込んでいるという点でも、『シン・ウルトラマン』に近いと言えるかもしれません。あえて言えば『GAMERA -Rebirth-』は由緒正しき“シン・ガメラ”的な立ち位置の作品であり、新規視聴者にとってはガメラシリーズの良い入門編になってくれるはずです。

『GAMERA -Rebirth-(ガメラリバース)』オープニング映像|WANIMA「夏暁」

 ただ、面白かったことは大前提の上で、『GAMERA -Rebirth-』ではガメラの設定があまり深掘りされない難点もありました。その点では、脚本をより突き詰めている平成三部作を合わせて観るのがオススメですが、ガメラの原点をもっと知りたい方は昭和シリーズを、ジュブナイルな成長譚を堪能したい方は『小さき勇者たち〜ガメラ〜』(2006年)を遡って観ていただくと、新たな発見があると思います。

 『GAMERA -Rebirth-』を通して、やはりガメラは少年少女の葛藤を描いたヒューマンドラマ重視のSFと相性が良く、陸・海・空(宇宙)を網羅する自由度の高い戦闘シーンも見どころだなと再認識しました。WANIMA「夏暁」が彩るオープニング映像もかなりカッコいい(このためだけでも観る価値あり!)。「日本の怪獣はゴジラだけではないぞ!」ということで、魅力的なガメラの沼にもぜひ、ハマってほしいものです。

※1:https://realsound.jp/2023/07/post-1389198.html

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