WATWING、1stアルバム『Where』が接戦を制してチャート首位獲得 現代のポップミュージックのお手本のような一枚に

WATWING「Falling for You」Music Video Teaser

 さて曲をみていこう。トラックメイカーのSeihoが制作した1曲目の「Overture」は、Seihoが得意とする近未来感のあるシンセサウンドを軸としたトラックで、WATWINGの未来を明るく照らすようなインスト曲に仕上がっている。シンガーソングライターの大橋ちっぽけが作詞作曲を担当した2曲目「Falling for You」は爽やかなギターのリフが心地よい。〈君〉にもっと深い関係になろうよと提案するこの歌を、彼らが歌うことに心を掴まれるリスナーも多いはず。ラップデュオのchelmicoの2人が手掛けた「WAIT A MINUTE!」は軽快なダンスビートを展開。歌詞の一つひとつを際立たせる独特のイントネーションや細かなニュアンスにchelmicoの手腕が光る。ラッパーのKvi Babaが参加した「Shine」や、同じくchelmicoの2人が手掛けた「I'm Okay」など、中盤はヒップホップ色の濃い楽曲を集めたことで、メンバーたちの歌声を存分に楽しめる構成に。ふたたび大橋ちっぽけによる「Honey, You!」のキャッチーさは今作随一のものだ。

 しかし、何と言っても印象的なのは、爽快感のあるダンスナンバーの9曲目「HELLO WORLD」であろう。この曲で登場する〈大胆にborderlessなmusicでDIVE!!〉の一節は、彼らの今後の活動に対する宣言とも受け取れる力強いフレーズである。1stアルバムに相応しい大きな可能性を感じさせてくれるこの未来志向のリリックは、本作の核となっていると言っても過言ではない。そして、メンバーが作詞作曲に参加した「Calling」ではグループの過去、現在、未来について歌われる。〈何年先も一緒に笑っていて欲しいんだ〉の一節がグループの結束力をより強いものにするだろう。

 終盤はラッパーのSALUによる「WINGS」、トラックメイカーのtofubeatsによる「Let's get on the beat」で華麗に着地。バラエティ豊かなアーティストによって、WATWINGがさまざまな表情を見せたアルバムに仕上がっている。

 今作は総じて、キャッチーでポジティブ、挑戦的で、かつダンサブル。現代のポップミュージックのお手本のような作りを見せている。アルバムジャケットは、まさにこれから飛び立とうという彼らの今を捉えている。映っている飛行機はおそらく国際線なのだろう。WATWINGが起こす上昇気流に乗り込むなら今しかない。

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