米米CLUBにとっては“異色”の「君がいるだけで」が最大のヒット曲に 変わり種のシングルが残した鮮烈な印象
「君がいるだけで」はどこが異色だったのか
「君がいるだけで」は米米CLUBとしてはかなりストレートなメッセージを持った楽曲だった。なにより異色だったのが、短いイントロのあとサビの歌詞から曲が始まるところだった。
それまでの米米CLUBの曲と言えば、楽曲の世界観をたっぷりとにおわせるイントロをまず聴かせ、そしてAメロへ入っていくパターンだった。それが「君がいるだけで」は一転、キラキラとして爽やかなメロディが鳴って〈たとえば君がいるだけで 心が強くなれること 何より大切なものを 気づかせてくれたね〉とカールスモーキー石井(石井竜也)が歌い出す。
『素顔のままで』のオープニング映像では、この曲に身を任せるようにしながら、青々とした海、砂浜、走る電車が空撮で映しだされた。そしてテロップで出される「脚本 北川悦吏子」の名前。その間もカメラは走行中の電車にクローズアップしていき、車内から外を見ている安田、中森の姿をとらえる。その流れが実に見事だった。筆者は今でも「君がいるだけで」を聴くとこのオープニングシーンを自然と思い浮かべる。それほど音楽と映像がマッチしていた。「君がいるだけで」がこれまでの曲と違ってサビから始まったのは、ドラマのオープニング映像を意識したもののように思える。そこで視聴者の気持ちをつかもうとする仕掛けがあったのではないだろうか。
ちなみにCDのカップリング曲「愛してる」も必聴である。これは米米CLUB史上、もっともベタなラブソング。〈愛してる 愛してる いつまでも 君のことを〉と、やさしく、奥深く歌う石井のボーカルがこれまた印象的。それ以降の石井の活動ではメロディアスな曲も多数発表されているため、現在聴くと珍しい曲調ではない。しかしその当時は「全然、米米っぽくない!」と意表をつかれたことを記憶している。
米米CLUBのディスコグラフィを振り返ると、長く聴き継がれている曲の多さに驚かされる。そのなかでも「君がいるだけで」と「愛してる」は変わり種の2曲として、初めて聴いたときの感覚が忘れられない。
※1:https://spice.eplus.jp/articles/198022
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