TM NETWORK、40年に及ぶアップデートの先に行き着いた“特別な美” 本人コメントと共に最新作『DEVOTION』を紐解く

TM NETWORK、40年のアップデート

 TM NETWORK(以下、TM)40周年(2024年4月21日)の幕開けを告げる最新作『DEVOTION』が、6月14日に発売された。「DEVOTION」「君の空を見ている」の2曲が新曲、「RESISTANCE」「WE LOVE THE EARTH」「KISS YOU」「TIME TO COUNT DOWN」の4曲はボーカルを新録したリミックス、「How Crash?」「Please Heal The World」「End Theme of How Do You Crash It」「intelligence Days」の4曲は、2021年にTMが再起動以来発表してきた音源の新ミックス、そしてボーナストラックの「TIMEMACHINE」は、40年の時を経てFANKS(TMファンの総称)待望の初のスタジオ音源、という構成だ。

TM NETWORK
TM NETWORK

 再起動後、コロナ禍で行われた配信ライブ『How Do You Crash It?』(2021年)を開催するにあたって小室哲哉は「音楽を創るアイデアとエネルギーは確実に進化していると感じています」とコメントしていたが、その言葉通りこのライブを見て、アレンジや音色、ニュアンスの繊細な変化によって、TMの音楽は現在・過去・未来を自由に行き来するんだと、改めて感じた人が多かったはずだ。そして昨年開催した全国ツアー『TM NETWORK TOUR 2022 “FANKS intelligence Days”』で、リアルな空間、空気の中でそれをより強く感じることができ、このふたつのライブと時間が『DEVOTION』というアルバムと通底していることがわかる。

小室哲哉
小室哲哉

 進化と深化を遂げたことを感じさせてくれると共に、挑戦的な作品になっているこのアルバムに『DEVOTION』という、献身、忠誠、深い愛情という意味を持つ“強い”言葉を選んだ。FANKSとTM、それぞれがそれぞれを思う気持ち、そして40年間という時間を“共有”してきたそのキーワードになっている。

 このアルバムの発売日前日にEXシアター六本木で行われた『TM NETWORK FANKS THE PARTY 2023 feat. “DEVOTION”』には小室哲哉、宇都宮隆、木根尚登の3人が登壇し、このアルバムについて語った。この日は同会場で行われた『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』(9月8日公開)の会見にも3人は登壇。『シティーハンター』といえばエンディングテーマ「Get Wild」だが、今回TMは「念願の」(小室)オープニングテーマ「Whatever Comes」を手がけ、さらにアルバムに収録されている「DEVOTION」と「君の空を見ている」が挿入歌として起用されている。「DEVOTION」について小室は「歌詞は『シティーハンター』の内容とリンクしていて、映画を観ていただけるとわかる」と語っていたが、映画のテーマとそしてTMとFANKSの関係性を映し出すような壮大で、優しくも強い歌詞が印象的だ。「ギターでつかみたかった」(小室)という木根のギターが弾き出すイントロに導かれて、力強い四つ打ちのビートと宇都宮のクールかつ甘い、しなやかな歌が交差するダンスミュージックだ。

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