星野源、マカロニえんぴつ、BTS V、INI、AI、新しい学校のリーダーズ……注目新譜6作をレビュー

INI「Moment」

 メタバース空間で開催中のイベント『バーチャル冒険王2023』テーマソングだが、バキバキのシンセが飛び交う、いかにも近未来!みたいな曲ではないことが興味深い。むしろこの曲で重要なのは、人の温もりや懐かしいセンチメンタリズム。爽やかなギターは初夏の風を運び、繰り返される〈Wow oh〉のコーラスが、いつでもそばで流れていたあの名曲、のように響く。初めて聴くのに懐かしい感じがするというのは、優れたポップスの条件のひとつだ。無駄のないコーラスとバース。思わせぶりな起伏を取り除いた清涼感たっぷりの展開。何度だって繰り返し聴ける。(石井)

INI | 'Moment' Practice Video

AI「WORLD DANCE(feat.ちゃんみな)」

World Dance

 最新アルバム『RESPECT ALL』から先行配信。AIとプロデューサーYaffleが書き下ろした新曲に、最高のラッパーを迎えたいと話が進み、白羽の矢が立ったのがちゃんみなだった。ともにヒップホップやR&Bを愛するシンガーだが、視点はかなり違う2人。全人類への大きな愛を、地底から湧き上がるようなエネルギーで歌にできるAI。迷いのない〈Love〉と〈Peace〉がゴスペルチックに降り注ぐAIに対して〈わかんないわ what is love〉〈まだ24のわたしには大きいworld〉と本音をぶつけるちゃんみな。声に宿った棘もいいアクセントになっている。無理に話を合わせず、違いも誤魔化さず、それぞれの意思と声を貫きながらノンストップで踊るさまがクールな一曲。(石井)

新しい学校のリーダーズ「狙いうち(50th anniversary special cover)」

狙いうち (50th anniversary special cover)

 EP『マ人間』収録、山本リンダの大ヒット曲カバー。とんでもないシロモノになるかと期待したが、わりと原曲に忠実な歌唱である。歌詞とメロディのインパクトは崩しようがなかったのだろう。ストリングス+ホーンで構成される原曲のイントロは、80’s風のシンセとリズムマシンに替えて個性をアピール。音をあえてチープにすることで、SUZUKAの迫力が倍増する結果に。さらに印象的なのは、必ず一拍目にアクセントを付ける彼女たちの優れたビート感覚。聴き進むほど体が前のめりになっていく、ここまでリズミックな〈ウララ ウララ〉は初めて聴いた。トドメはラストの一言。声音がガラリと変わるのだが、これ、反則かっていうくらいヤバい。(石井)

INI、「My Story」では髙塚大夢が初挑戦 藤牧京介、池﨑理人、田島将吾、西洸人……作詞で示すそれぞれの想い

INIの新曲「My Story」が7月17日に配信リリースされた。  同楽曲は、9月22日に公開される映画『ストールンプリ…

電気グルーヴ、aiko×井口理……オールナイトニッポン55周年番組を振り返る 昭和から令和までを繋ぐラジオという存在

ラジオ番組『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)の放送開始55周年を記念し、2023年2月17日から3日間オンエアされた『オー…

関連記事