【速水奨（神宮寺 寂雷 役）×竹内栄治（天国 獄 役） 対談インタビュー】

――今回のコンセプトをお聞きになった時、おふたりはどう思われましたか？

速水奨（以下、速水）：『ヒプノシスマイク』でラップを歌わないことに、ぽっかり感が（笑）。「え、僕、ラップ歌うことに慣れていたんだ？」と思って。

竹内栄治（以下、竹内）：寂しかったですか？（笑）。

速水：そうそう（笑）。ラップじゃない曲を歌うの、寂しいと思わなかった？

竹内：僕は、「『ヒプマイ』でラップじゃない曲を歌うんだ……」って、少し恥ずかしかったですね。

速水：うん。ラップで武装していられたのに、ラップというものを外された時に、最初は少し驚きました。

竹内：でも、新しい引き出しを開いた感じがしましたね。『ヒプマイ』の間口が広がったというか。

――このおふたりで歌われることを知った時に、どう思われましたか？

速水：（寂雷と獄は）同級生という設定ですからね、とても自然なことではあるなと。

竹内：僕は「速水さんと歌うんだ！」って、すごく緊張しました。

――キャラクターの役柄や関係性を考えても、ファンの方にとって、このおふたりの組み合わせはとても嬉しいと思うんですよね。

速水：（レコーディング時に）竹内くんの歌が先に入っていて、それを聴きながらレコーディングしたので僕は非常に助かりました。先にちゃんと世界を作ってくれていた。

竹内：僕は妄想を働かせながら、速水さんはどういう感じで歌われるのかを想像して歌って、楽しかったです。

速水：（笑）。でも、竹内くんの歌は、しっかりと言葉が聞こえた。声優らしく言葉を分解して、歌を言葉として歌ってるなと思いましたね。

竹内：うわあ……すごく嬉しい。Base Ball Bearさんはアニメの主題歌とかも歌っていらっしゃったので、小出祐介さんのお名前と曲はもともと知っていました。今回の楽曲提供をしてくださった方のなかには知ってるお名前がたくさんいらっしゃったので、僕らの曲以外も本当に聴くのが楽しみで。

速水：ヒャダイン（前山田健一）さんとかね。

竹内：さらっとDJ KOOさんがいらっしゃったり（笑）。

速水：すごいね、この世界……。

――（笑）。今回の楽曲で、歌唱技術や表現の面などで難しかったところはありましたか？

速水：最初に「獄と寂雷に何があったんだろう？」って思いましたね。〈悲しみのコイン〉っていう言葉が歌詞に出てくるじゃない？　これって、きっとキーワードなんだよね。悲劇というか、ふたりのなかで取り返しのつかない何かがあったんだろうと思いながら僕は歌っていたんですけども。

竹内：よくドラマトラックのなかで、獄の黒歴史みたいなものを寂雷がバラすじゃないですか。昔の獄って、少し闇の部分が強かったんだろうなと思っていて。そういう気持ちで小出さんは歌詞を書いたのかな？　と想像したりしましたね。

速水：ふたりとも、学生時代から大人になるまでのあいだに、それぞれにすごく衝撃的な出来事があって。寂雷だったら、海外できな臭いことをやっていた過去があるし、獄もエスカレーターで順風満帆に弁護士になったわけではないじゃない？　本当の意味での黒歴史が散りばめられていると思いながら歌って。技術的に難しいところは、竹内くんのキーが低いところじゃないかな。

速水：あと、これは聴いてもあまりわからないと思うんですけど、僕たち、すごくハモっているんです。コーラスの要素がいっぱいあって。

竹内：サビ以外にもかなりハモっているんですよね。裏声ギリギリの高い声とかも入っていて。

速水：寂雷と獄で一応パートは分かれているんですけど、パートが細かく入れ替わったりするので、“寂雷の心情”と“獄の心情”というよりも、ふたりの青春時代の明るい部分ではない、どちらかと言うと誰しもが心に抱えているような苦しみやもがいていたことが表現されていて。だから、爽快感はあまりない（笑）。

竹内：（笑）。

――たしかに、シリアスな内容なのに優しく聴こえる瞬間だったり、いろんな要素があって。そのなかでも、とても細かい表現がされているなと感動したんですが、工夫されたことなどはありますか？

竹内：小細工らしい小細工はしなかったと思います。歌詞自体は暗めの雰囲気なので、そこと混ざって優しく聴こえたのかなという気がしますね。

速水：僕自身、今回は過去の“ある瞬間”を切り取ったようなドラマだと思ったので、気持ちとしては、世のなかのことがわかっている寂雷と獄ではない――もがいている若さを、どこか意識した気がします。

竹内：ああ、僕も若さを感じました。寂雷のサビのところに、特にそれを感じましたね。

速水：だから、キーが高かった（笑）。

竹内：家で聴いていて嬉しくなりましたよ（笑）。

速水：（笑）。でも、本当にこのラインナップすごいよ。