石原夏織、ソロアーティストデビュー5周年記念ライブ “花束”のように届けた楽曲たちと感謝の言葉

石原夏織、5周年記念ライブレポ

 石原夏織のソロアーティストデビュー5周年を記念したライブ『Ishihara Kaori 5th Anniversary Live -bouquet-』が、自身の誕生日当日である8月6日に、東京・LINE CUBE SHIBUYAで開催された。熱いダンス、人気のアニメソング、思いを伝えるミディアムナンバー、そしてファンと共に歩んで来たことを感じさせる楽曲など、現在の彼女を形作っている多彩な要素を実に端的な形で表現。それらを“花”というテーマで結んで、公演名の伏線回収も果たす見事な構成で、5年の成長と進化を見せつけた。

 今回が初の夏開催となった本ライブ。文字通りのサマーチューン「SUMMER DROP」がオープニングを飾り、ビーチチェア、パラソル、浮き輪などのアイテムと共に登場した石原。海のようなブルーのペンライトでステージを照らす観客に、「最高の1日にしようね」と呼びかけ、ハイビスカスや向日葵のような明るく華やかな雰囲気が会場に広がった。

 客席を狙い撃つようなポーズが可愛らしい「Cherish」、続く「ポぺラ・ホリカ」では曲に合わせたかけ声に〈キミのおかげで今日が好き!〉と満面の笑顔で叫んで応えた石原。会場は大歓声で包まれた。久しぶりの声出しに「みんなやっぱりいい声をしていますね」と語りかける。初のフルバンドによる演奏であることにも触れ、「原曲の良さを残しつつ、さらに格好よく、めっちゃ魅力的になった曲たちをお届けします」とコメントした。

 爽やかで疾走感あふれる3曲を連続で繰り出したコーナーは、最新シングル曲「Paraglider」からスタート。指を天高く突き上げて歌った同曲は、思いを遠くの空まで届けんばかりだ。「半透明の世界で」は、ブルーのレーザーやシャボン玉が世界観を演出。「みんなもっと声出していくよ」との呼びかけに、会場には観客のかけ声がこだました。また「夜とワンダーランド」では、オチサビでパッとスポットライトが彼女に当たる演出も格好よく、観客のハンドクラップによって心地よい一体感が会場を包み込んだ。

 バンドによる巧みな演奏でバンドメンバーの紹介が行われると、その流れで迫力ある演奏と息の合ったダンスで魅せるゾーンに突入。ソリッドさとセクシーさを兼ね備えた黒のコスチュームに着替えて登場した石原は、ジャジーなサウンドの「Taste of Marmalade」で、挑発的なパフォーマンスを繰り出す。ステージにはミラーボールも回り一気に夜の雰囲気になった。「Ray Rule」は、ビジョンに当時のミュージックビデオやこれまでのライブシーンが次々と映し出されたのも印象的。最新のダンスナンバー「Abracada-Boo」は、4人のダンサーと息の合ったダンスを披露した。ダンスはアーティスト=石原を構成する重要な要素であり、この短いコーナーの中で、ダンスパフォーマンスの5年の歴史と進化を感じさせた。

 キャッチーなメロディが印象的な「Singularity Point」で始まったゾーンは、熱く力強いボーカルと共に、人気のアニメソングを連続で披露して観客を沸かせた。アニメ『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦』オープニングテーマ「Against.」は、アニメやMVのイメージそのままに、赤と青の2色のレーザーとペンライトが会場を照らし、メランコリックな歌声とシアトリカルなパフォーマンスで魅せた。またアニメ『魔王様、リトライ!』オープニングテーマ「TEMPEST」は、まるで運命の糸が絡まったかのような赤いレーザーとスモークが噴き出す演出もあり、その中で妖艶さを感じさせるパフォーマンスを繰り広げ、物語の世界のキャラクターになりきったような引き締まった表情もビジョンに映し出される。まるで一輪の青いバラのような、神秘的で力強い存在感を見せつけた。

 ダンサー紹介の後は一転、エモーショナルに歌い上げるゾーンを展開。1番を美しいピアノをバックに歌うというこのライブならではのアレンジで聴かせた「Remember Heart, Remember Love」。「曖昧蜃気楼」ではスタンドマイクに手をかけて、切ない表情でしっとり歌った。スタンドマイクにも花があしらわれており、細部にまでわたるこだわりを感じさせた。そしてこのゾーンの最後には、シングル『Paraglider』のカップリング曲「To My Dear」をライブ初披露した。キャンドルに囲まれて祈るように歌った彼女。どこかノスタルジックな雰囲気と歌声に宿る温かさに、観客もじっと息を潜めて歌声に聴き入った。MCでは「To My Dear」が初めて家族をテーマに歌った楽曲であることに触れ、「ライブも私にとってもう一つのおうち。いつも優しく迎えてくれてありがとう」と、ファンに感謝の気持ちを伝えた。

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