リアルサウンド連載「From Editors」第15回:『君たちはどう生きるか』を観て宮﨑駿監督に感謝を伝えたくなった話

 「From Editors」はリアルサウンド音楽の編集部員が、“最近心を動かされたもの”を取り上げる企画。音楽に限らず、幅広いカルチャーをピックアップしていく。

宮﨑駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』

 宮﨑駿監督によるスタジオジブリ最新作『君たちはどう生きるか』がついに公開されました。前作『風立ちぬ』から10年。2013年に引退宣言した宮﨑駿監督が出資会社なしで制作、異例の“宣伝なし”というプロモーションなど、どんな内容になるのかと世間からも高い関心が寄せられていたように思います。

 実際に私もワクワクしながら『君たちはどう生きるか』を観に行きました。SNSを見る限り、ネタバレや具体的な解説を求められてはいないような気配も感じるので詳細は伏せますが、様々な視点から語れる作品であるだけに、どのように感想を表現すればいいのか、というのは非常に悩ましい。

 ただ、私が幼い頃からスタジオジブリのファンであり、宮﨑駿監督の作品を好意的に観て今日まで育ってきた人間という意味では、ただただ見終わった後に「宮﨑駿監督、ありがとうございました」と言いたくなるような作品でした。それは、私の中にある“これぞ宮﨑駿のジブリ!”的なものが『君たちはどう生きるか』の随所に散りばめられていたこと、加えて現在82歳の監督からのメッセージを少なからず感じることができたからでしょう。

 豪華な声優陣でいえば、印象深いのはあいみょんの声優デビューです。ヒミというキーパーソンを演じているわけですが、非常によかった。彼女の凛としながらも透明感のある声、初々しさのある演技は、どこか『もののけ姫』でサンを演じた石田ゆり子が頭をよぎりました。あと最後に米津玄師の主題歌「地球儀」について。公式Twitterで寄せていた「今まで映画を作り続けてくれてありがとうございました。そしてこれからもずっと作り続けてください」というコメント通り、米津玄師から宮崎駿監督へのアンサーであり、『君たちはどう生きるか』を含めたジブリ作品への敬意に満ち満ちていたように思います。

 映画内で、主人公が吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』を読んで涙をするシーンがあります。そこで彼の心にどんな変化があったのかを知るためには、同小説を読むほかないと思ったので、とりあえずこれから本屋さんに行ってこようかと思います。

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