サザンオールスターズ、45周年を故郷・茅ヶ崎からスタートする特別な意味 桑田佳祐のラジオや新曲を受けて考える

 番組内では、そのうち2曲をオンエア。まずは7月にリリースされる「盆ギリ恋歌」。桑田のカオティックなワードセンスと言葉遊びが印象的な歌詞と、アバンギャルドなアレンジにキャッチーなメロディはまさにサザン節。「BOHBO No.5」や「HOTEL PACIFIC」といった過去にリリースしてきた楽曲も彷彿とさせつつも、そのどれとも違う新鮮さも醸し出す本楽曲は、間違いなくこの夏のキラーチューンとなるだろう。

 さらに8月にリリース予定の「歌えニッポンの空」も続けてオンエア。こちらは爽やかで飾り気のないアレンジに、桑田の故郷である茅ヶ崎、日本の夏の原風景、そして感謝の想いが鮮やかに描かれた歌詞が印象的な1曲だ。

 「盆ギリ恋歌」、「歌えニッポンの空」共に“故郷”というフレーズや茅ヶ崎に関するフレーズが歌詞に登場するのが印象深い。〈サザンビーチでナンパするならヨシオんとこで〉という「盆ギリ恋歌」の“ヨシオんとこ”は、桑田の同級生がオーナーを務める茅ヶ崎サザンビーチの海の家、夏倶楽部を指したものだ。また「歌えニッポンの空」の歌詞中に出てくる〈浜降〉は、茅ヶ崎で毎年開催されている「浜降祭」。コロナ禍以来、今年4年ぶりに同イベントは開催を予定しているが、歌詞で触れたことに対してリスナーから感謝のメッセージも届いていた。特に近年のサザンオールスターズは「東京VICTORY」や「平和の鐘が鳴る」など“日本”や“故郷”といったテーマを楽曲に掲げた楽曲を制作してきた。今回オンエアされた2曲、そして茅ヶ崎でのライブ開催は、まさにそのテーマを明確に打ち出したものであり、 “故郷としての茅ヶ崎”から2023年の活動をスタートさせることに特別な意味合いが出てくるのではないだろうか。茅ヶ崎の大きな空の下で「盆ギリ恋歌」や「歌えニッポンの空」が鳴り響くのが楽しみだ。

 番組の最後には桑田からファンやスタッフに対し、「おかげ様でデビュー45周年を迎えることができました!」と感謝を告げる一幕も。桑田の人となりの良さ、人としての器を感じさせるコメントだった。デビュー45周年を迎え、メンバーが皆65歳を超えてもなお、精力的に活動を展開するサザンオールスターズ。6月25日に過去のライブ映像を配信する特別番組『サザンオールスターズ45周年!! 感謝の“45曲”ライブ配信特番「それ、何年? そうねだいたいね」on YouTube』が行われた際は、YouTube上のチャット欄がファンによる歓喜の声やお祝いのメッセージで大いに盛り上がっていたが、ここから『茅ヶ崎ライブ2023』、そして3曲の新曲がこの夏をさらに熱くしてくれるはずだ。

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