坂口健太郎主演ドラマ『Dr.チョコレート』挿入歌で話題 澤野弘之トータルプロデュースによるNAQT VANEが今求められる理由
坂口健太郎が主演を務める日本テレビ系土曜ドラマ『Dr.チョコレート』。個性豊かな登場人物たちが見せる怒涛のストーリー展開が好評を博している。同ドラマの挿入歌を担当しているのが、澤野弘之がトータルプロデュースを手掛ける音楽プロジェクト、NAQT VANE(ナクトベイン)だ。
NAQT VANEは、トータルプロデューサーの澤野と8年の海外生活から帰国したボーカリスト Harukaze、そしてアートワークを担当するClassic 6による3人組のチームプロジェクト。“NAQT”はドイツ語で“裸”、“VANE”は英語で“翼”を意味する言葉で、「挑戦者に追い風を吹かせるチームプロジェクト」のキャッチコピーのもとに、これまでに配信したシングル4曲を含む6曲入りの1st EP『NAQT』をリリースし、今年5月には渋谷WWWにてワンマンライブも開催。今後要注目の音楽プロジェクトである。
澤野といえば、アニメやドラマ、映画の劇伴のみならず、アーティストへの楽曲提供などその活動は多岐にわたる。彼が世間の注目を集めたのは、2006年に放送されたテレビドラマ『医龍 Team Medical Dragon』(フジテレビ系)の音楽を制作した時のこと。澤野は、この年に放送されたテレビドラマ『タイヨウのうた』(TBS系)の音楽制作も担当し、「ザテレビジョンドラマアカデミー賞」音楽賞を2クール連続で受賞。その名をシーンに轟かせた。その後、2013年より放送されたテレビアニメ『進撃の巨人』を手掛けたことでさらに知名度が急上昇し、『劇場版「進撃の巨人」』や『キルラキル』など数々の話題作の音楽を担当したことで、その評価を盤石のものとしていった。一方で、2014年にスタートしたプロジェクト、SawanoHiroyuki[nZk]では、AimerやLiSA、西川貴教といった歌手をボーカルに迎えて楽曲を発表。近年はポルノグラフィティの岡野昭仁、スキマスイッチ、優里、秦 基博など、シーンを賑わすさまざまなアーティストが自身のアルバムに参加し、プロデューサーとしてその才能を遺憾なく発揮している。オーケストラなどを用いた壮大なサウンド構築と、歌い手の魅力を引き出すその巧みなプロデュース力は、唯一無二のものと言えるだろう。
対して、ボーカルを担当するHarukazeは、1998年生まれの北海道出身。15歳で日本を離れて海外で過ごし、ロサンゼルスの大学で音楽ビジネスを学んだという異色の経歴の持ち主だ。ソロでいくつか楽曲をリリースしたHarukazeがInstagramに投稿していた洋楽のカバー動画が澤野の目に留まり、このプロジェクトの結成に至ったという。決め手となったのはその美麗な歌声と、英語をネイティブのように話せる言語能力なのだとか。澤野はこれまでも多くのボーカリストとコラボした作品を発表してきたが、こうしてプロジェクトを組み、ひとりの歌い手を継続的にトータルプロデュースするのは初めてのこと。ある意味でこのプロジェクトは、澤野にとって、特定のボーカリストを世に羽ばたかせるその手腕が試されているとも言えるわけだ。
さて、冒頭でも触れたようにこのNAQT VANEはドラマ『Dr.チョコレート』の挿入歌を担当しているが、それ以外にもすでにいくつかのタイアップを実現させている。しかも、どれもが異例の抜擢だというのだ。正直に言って、NAQT VANEは、まだ世間的にそれほど知名度があるというわけではない。だが、「中毒性が高い」というリスナーの声も多い。彼らはなぜ、こんなにもタイアップを獲得できるのだろうか。