2023.06.10 12:00

Conton Candy「ファジーネーブル」、TikTokでの人気から着火したヒット現象　叶わぬ恋に思いを馳せる甘酸っぱさが魅力に

文＝蜂須賀ちなみ

　そんな「ファジーネーブル」は、甘酸っぱいカクテルになぞらえて片思いを歌ったアッパーチューン。ファジーネーブルというチョイスから、お酒を飲み始めたばかりの20代前半の女子が、少し背伸びをしながら恋をしている様子がイメージできる。TikTokでよく使用されているのは1番サビで、浮遊感のある儚い歌声に特有の節回しと紬衣のボーカリストとしての魅力がギュッと凝縮されている。双子のリズム隊・楓華＆彩楓のプレイも含めみずみずしく明るい印象だ。楽曲自体もサビ始まりであるため、再生するとすぐに耳馴染みのいいフレーズを聴くことができるが、Aメロに入ると同時に転調する展開が一風変わっていて面白い。Ａ～Bメロに関しては、キー設定だけでなく、ボーカルやバッキングギターのニュアンスも相まって少し切ない雰囲気。楽曲全体を通して甘さとほろ苦さが混ざり合っている感じが、まさに、叶わない恋を想いながら甘いカクテルを口にする主人公の心情や感覚を表している。

　リスナー一人ひとりに寄り添えるバンドで在りたいと語るConton Candyは（※5）、「ファジーネーブル」や「ロングスカートは靡いて」以外にも様々な恋愛ソングをこれまでに発表してきた。“あなた”に出会った春を回想しながら、時の流れと悲しい変化を歌った「桜のころ」、キャッチーなギターリフに乗せて〈もう一回さよならの前に／あなたの匂いに包まれたい〉と歌う「envy」、一緒に過ごしたワンルームを離れる時の気持ちを歌った疾走感溢れる楽曲「102号室」などにも今後注目が集まりそうな予感だ。そしてライブハウスで見せる胸の内をさらけ出すような演奏もこのバンドの魅力の一つ。ぜひライブ会場にも足を運んでみてほしい。

Conton Candy - 桜のころ [Official Video]

※1：https://twitter.com/Conton_Candy/status/1659444013949403137
※2：https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2023-05-22
※3：https://twitter.com/Conton_Candy/status/1663788270332051457?s=20
※4：https://twitter.com/Conton_Candy/status/1663561786103316485
※5：https://www.barks.jp/news/?id=1000222560