まらしぃ、初音ミクも登場したツアーファイナル 配信視聴者がコメントで参加、熱気溢れるステージに
6月4日、『marasy piano live tour 2022-2023』のファイナル公演がカルッツかわさき ホールにて行われた。およそ半年間にわたって行われたツアーのファイナル。ファイナルならではの演出や同会場だからこそ実現した演出まで、見どころたっぷりの公演となった。
定刻すぎ、拍手に包まれながらまらしぃがステージに登場、静かにピアノ椅子に腰かけると、元気いっぱいのオリジナル曲「Love Piano」で開幕する。この日のステージセットは部屋を模したもの。ソファや間接照明、本棚が配置されていたり、窓が空の景色を映し出していたり、額縁にはその都度弾いている楽曲のジャケット写真が投影されたりと、工夫が凝らされた広々とした部屋の中心にピアノが据えられていた。普段は自室からYouTubeやニコニコ生放送での配信などでピアノを演奏しているまらしぃだが、そんな配信風景との繋がりも感じさせるセットである。そのこともあってか、会場の雰囲気も普段の和気あいあいとした配信と近いものが感じられた。
挨拶を挟み、「千本桜」(黒うさP)へ。まらしぃがちらりと客席を見やると自然に手拍子が湧き上がり、序盤にして会場との息もぴったりだ。落ちサビでの変速やアウトロでのスピードアップで手拍子を翻弄しながら、強かなリズムでノリの良い「千本桜」が響き渡る。演奏力はもちろんのこと、会場を巻き込みながら楽しませるステージには感服だ。
「SnowMix♪」を軽快に弾き終えると、「六兆年と一夜物語」(堀江晶太(kemu))、「88☆彡」へ。それぞれの楽曲の思い出を語りながら楽し気に弾いていくまらしぃのライブは、配信と同様、彼自身の好きなものを共有する場にもなっていると言える。ピアノを再開しYouTubeに演奏動画を投稿し始めるきっかけにもなった東方Projectの楽曲「ネイティブフェイス」に差し掛かると、力強いタッチが会場の空気を引き締める。そこからまらしぃによる東方アレンジ曲「Re:Unknown X」へ繋がるという、原点から今の活躍までを直線で結ぶようなセットリストには胸が熱くなるばかりだ。
今回のライブでは、ステージセットの窓に映る空が日中から夕焼け、そして夜へと、時間が経つごとに景色を変えていた。そんな景色の移ろいから着想を得て書いたという「七彩」では、空の色が徐々に変化していく様子を思わせる繊細なフレーズが会場の空気をノスタルジックに彩った。
窓から見える空には星が浮かび、MCはまらしぃのボカロ楽曲「アマツキツネfeat.鏡音リン」の10周年を記念しリリースしたアルバム『アマツキツネ 10th Anniversary』の話題に。これまで「アマツキツネ」がもたらした縁について振り返ると、キツネをテーマにした「アマツキツネ」「弧ギツネの乱」「天照ラセ」を連続で披露する。夜に似合うしっとりとしたアレンジで、3曲でひとつの物語を紡ぐようなドラマチックな演奏だ。そんな空気をがらりと変え演奏したのは、堀江晶太(kemu)、じんとのコラボ曲「新人類」。躍動感のある演奏に手拍子が湧き上がり、軽快に跳ねるメロディが会場を明るく染め上げた。