ももいろクローバーZの15年間を凝縮した『代々木無限大記念日』徹底レポ モノノフに誓ったアイドルであり続ける決意

ももクロ、15周年ライブ徹底レポ

 ももいろクローバーZ(以下、ももクロ)が、5月16日、17日に東京・国立代々木競技場第一体育館で結成15周年を記念したワンマンライブ『代々木無限大記念日 ももいろクローバーZ 15th Anniversary』を開催した。2008年5月17日にももいろクローバーとしてステージデビューした彼女たちの、結成15周年を迎えた記念日当日である5月17日のライブの模様をレポートしていこう。

 代々木は、初期のももクロが路上ライブを行っていた場所であり、2012年に初出場した『紅白歌合戦』の会場・NHKホールがあったりと、彼女たちにとって思い出の深い土地だ。という結成初期に隣接していたりと、ももクロの15周年を祝うには、代々木第一体育館はまさにうってつけの会場である。また今回の公演は、コロナ禍以降制限されていた声を出しての応援が約3年ぶりに遂に解禁されるライブでもあった。本公演は、15年分のめでたさが詰まりに詰まった実に濃密なライブが繰り広げられた。

 開演前から、ソールドアウトの満員の会場は期待感マックス。客電が落ち、ドレッシングルームのメンバーが戦いに挑むようなかっこいいオープニング映像が流れる。「overture ~ももいろクローバーZ参上!!~」が響き渡り、モノノフ(ももクロのファン)のコールとペンライトの光が波が押し寄せ、爆音とともにアリーナに設置されたセンターステージに、百田夏菜子、玉井詩織、佐々木彩夏、高城れにが登場。凛とした表情の4人のメンバーは、モノノフの大歓声を浴びながらじっとたたずみ続ける。興奮度が高まる中、問答無用のももクロの代表曲「行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-」からライブはスタート。煌びやかな衣装のメンバーは、観客のど真ん中で渾身の歌とダンスを見せていく。間奏でダイナミックなアクロバットを見せ、落ちサビでは全観客がペンライトを百田に向ける壮大なケチャの光景が広がる。そして百田が必殺のエビ反りジャンプを決めると銀吹雪が噴射し、ラストサビで会場のボルテージは最高潮となった。

 早くもライブ1曲目にしてすでに感動のクライマックスの様相だ。だが、15周年ライブはここからさらに高まりを見せていく。トロッコに乗り込んだ4人は、「ダンシングタンク♡」を観客に手を振りながら歌唱。メインステージにたどり着くと、DOWNTOWN MOMOCLO BAND(以下、DMB)の激しい演奏に合わせてヘドバンを繰り広げる。彼女たちは、エキゾチックなアレンジとなった「ピンキージョーンズ -ZZ ver.-」、布袋寅泰が手がけたパワフルなロックチューン「サラバ、愛しき悲しみたちよ」、戦い続けるももクロの姿勢を歌う「Z伝説 〜ファンファーレは止まらない〜」を連続で披露。出し惜しみ無しのももクロの攻撃にモノノフが大歓声で応え、ライブは強烈な盛り上がりとなった。

 MCタイムで、百田は「みなさんのおかげで本日、結成15周年を迎えることができました。今日は感謝の気持ちを、いっぱい受け取ってくれたらと思います!」とライブの意気込みを語る。自己紹介を終えた彼女たちはライブに戻り、「吼えろ」を披露。砕け散った願いや仲間たちの思いを胸に、挫けずに前へ進んで行こうという歌詞を、4人は感情を込めたボーカルで歌っていく。流れの早い芸能界で、15年という長い月日を戦い抜いてきたももクロ。もちろん本人たちにしかわからないプレッシャーもあったことだろう。あらゆるものを乗り越え、現在もトップランカーとして走り続ける彼女たちだからこそ、歌詞の説得力は半端ない。

 彼女たちは疾走感たっぷりの「stay gold」を投下し、ライブの勢いを加速する。ホーンが鳴り響くファンキーな「労働讃歌」、次々と場面が展開していくサウンドが痛快な「Z女戦争」、マーチングのリズムとともに明るいメロディを笑顔で歌う「笑一笑 〜シャオイーシャオ!〜」と、メンバー4人はももクロの歴史を語る上で欠かせない楽曲を立て続けに披露し、観客のボルテージを高め続けた。

 最近のももクロのライブでは、大人っぽいアレンジで楽曲が披露されることもあるのだが、この日は15年の歴史の振り返りもあり、久々の声出し解禁ライブでもある。その意図も汲んだのか、今回は原曲の雰囲気を活かしたライブ感重視のアレンジでステージが行われていった。また、ライブを通じてとても印象的だったのが、彼女たちの瑞々しい歌声。スキルアップも感じさせながらフレッシュ感もあるという4人のボーカルは、15年のあらゆる時代の楽曲を一本の線で繋ぐ大きな軸に感じられた。まさにミッシングリンクを解く鍵として、4人の歌声がライブの中心にあった。

 15年を振り返るVTRを挟んで衣装チェンジした4人は、パワフルなビートが炸裂する「Nightmare Before Catharsis」を力強く歌唱。疾走感溢れる「CONTRADICTION」で会場のテンションをさらに上昇させる。トロッコでセンターステージに移動した4人は、佐々木をフィーチャーした「ゴリラパンチ」を披露する。会場全体で一緒に振りを踊り、メンバーと観客は楽しく盛り上がった。

 ライブ後半戦は、ヘヴィでかっこよさあふれる「MYSTERION」で始まった。「BIONIC CHERRY」では、スモークが噴射するセンターステージをメンバーが走り回り、モノノフと大合唱を繰り広げる。そして、佐々木がコール&レスポンスを行い「コノウタ」が披露された。4人は歌を届ける思いを爽やかなメロディで観客に伝えていく。センターステージに紙吹雪が舞い、会場は幸福感あふれるキラキラな空間となった。

 MCタイムでは、ももクロがあらゆる企業や団体とタッグを組み日本中を楽しくするという新たなプロジェクト『NO RULE PARTNERSHIP』の始動が告げられた。また、今回の公演『代々木無限大記念日 ももいろクローバーZ 15th Anniversary』のライブアルバムが今夏配信リリース、LIVE Blu-ray & DVDが10月4日に発売されることが発表。さらに、毎年春の恒例行事『ももクロ春の一大事』が、2024年4月13日、14日に行われることが発表とされた。

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