The BONEZ、全力の熱量から生まれる優しい空間 ありったけの歌声と共に希望が広がった47都道府県ツアー初日レポート
The BONEZは太陽のようなバンドだ。どんなに曇り空や雨が続いたとしても、彼らが必ず世界を明るく照らしてくれるはずだと信じたくなる、最高にアツい4人組である。10周年を迎えたThe BONEZの47都道府県ツアー『47 AREAS』初日、5月12日の恵比寿LIQUIDROOM公演は、そのことを高らかに証明する文句なしのスタートダッシュとなった。4人がステージで燦然と輝き、その光を受け取ったオーディエンスも惜しみなく輝いた一夜。本稿ではセットリストの詳細なネタバレを避けつつ、ツアー初日の模様を記す。
振り返ればコロナ禍の3年間、ロックバンドとロックを愛するリスナーたちは、手足を縛られ、自由を奪われたような状態だった。声を上げたり思うがままに踊ることが封じられ、爆音で不安や絶望を昇華できるはずだったライブハウスが、長らく本来の役割を失っていたからだ。それでも、日本中のバンドマンとロックリスナーたちが、「自分のアイデンティティを育んできた大切な遊び場を絶対に奪わせない」と歯を食いしばって守ってきたことで、ライブハウスシーンは今日まで希望を繋いできた。The BONEZの最新作『Yours』はその成果を讃え合いながら、生まれ変わろうとしているライブハウスシーンに向けて「全員でもっと新しい景色を観に行こうぜ」と叫ぶ、ポジティブなエネルギーに溢れたパンキッシュなアルバム。と同時に、自分たちの存在と歴史を誰にも奪わせないという強固な意志が貫かれたアルバムでもある。音源で聴いてもその感慨はひとしおだったが、ライブで全身全霊でその想いを分かち合う瞬間の数々には、何にも変えがたい感動があった。
開演前から熱気を充満させていたオーディエンスの「待っていたぞ!」という気持ちを受け取って、ステージに現れたThe BONEZの4人。早速1曲目からアドレナリン全開で飛ばしていく。いきなり沸点に達するほど最高なパフォーマンスを見せてくれるのが、いかにもThe BONEZらしいところだ。縦横無尽に動き回って叫び、ライブのエンジンを加速させていくJESSE(Vo/Gt)。勢いのみならず緩急あるプレイも挟みながら、全力でギターに感情を委ねるKOKI(Gt)。グルーヴィなベースでフロアを存分に揺らしていくT$UYO$HI(Ba)。そして、笑顔でパワフルなドラムを炸裂させるZAX(Dr)がたまらない。それに応えるようにフロアも全力で叫んで踊って、凄まじい盛り上がり。ZAXの猪突猛進なMCをいじった後に「最高にアツい親友4人です」と紹介したJESSEや、「3年間待っててくれてありがとう」といったT$UYO$HIのMCにも、思わず目頭が熱くなった。
この日、JESSEは何度も「自由に!」「好きにやれよ!」と叫んだ。そう、我々は自由なのだ。一人ひとりが違う人生を歩み、異なる考え方を持つのは当たり前。それを受け入れて違いを肯定しながら、誰もが共有している「この瞬間を最高に楽しみたい」という思いに全力で応えていくThe BONEZ。だからこそ、「Numb」も「SUNTOWN」も「We are The BONEZ」も、あらゆるThe BONEZの曲にはフロアと一体になって叫べるパートがあるのだ。中盤で披露された「For you」は特に象徴的で、〈for you〉〈for me〉や〈Wow〉といったキャッチーなコーラスパートでは、一斉にオーディエンスの声と拳が上がり、それに応えるようにJESSEが〈こうすれば傷じゃなくなるよ〉と笑顔で歌い返す。失うことから始まり、様々な傷を背負いながらも、決して一つひとつの出会いを手放すことなく、愚直に前進してきたThe BONEZにしか作り出せない優しい空間が広がった。