レマ、世界を席巻する“アフロレイヴ” ドレイクやリアーナも支持するアフリカ音楽界の新星が成し遂げた功績

レマ、世界を席巻する“アフロレイヴ”

 現在最も熱いナイジェリア出身の若手アーティスト、Rema(レマ)。2022年にリリースした「Calm Down」をSNSで聴いたことがある人も多いだろう。「Calm Down」はヨーロッパ中でチャートインし、セレーナ・ゴメスが参加したリミックス版は、「Billboard Hot 100」で全米5位を獲得している。ナイジェリア、そしてアフリカの音楽業界の新星として世界で注目されているレマだが、彼の功績を紹介したい。

Rema - Calm Down (Official Music Video)

 ナイジェリア南部のベニンシティで育ったレマは、教会がきっかけでラップを始めた。彼は家族が聴いていた影響でD’Banj、ヴィクター・ウワイフォ、フェラ・クティ、ウィズキッド、ダヴィド、バーナ・ボーイなど、ナイジェリア出身のアーティストを広く聴いて育ったと語っており、ヒップホップ、ゴスペルヒップホップ、ロックにも大きく影響されている。学校ではアートを学んでいたが、シャイな性格のため学校で音楽をやることはなかったという(※1)。しかし彼は教会で音楽の経験を踏むにつれ、14歳の頃には子供たちにラップを教える「ラップのリーダー」と呼ばれるようになる(※2)。その後、ガーナで時間を過ごし、バーなどで演奏をし、生活費を稼いでいたと語っている(※1)。

 2018年にはナイジェリアのスター、D'Princeの「Gucci Gang」のビート上でフリースタイルを披露した動画がInstagramでバイラルになり、D'Prince本人に見出され、彼のレーベル「Jonzing World」と契約。2019年にはデビューEP『Rema』をリリースし、Apple Musicナイジェリアにて1位を獲得。収録曲「Dumebi」はドレイクやリアーナによって支持され、ナイジェリアの代表格アーティストとして世界中から注目を浴びるようになる。 2021年にはペプシ・コーラのブランドアンバサダーに任命され、デビューアルバムのリリース前にも関わらず世界的人気と知名度を集める。

Rema, Selena Gomez - Calm Down (Official Music Video)

 2022年3月に6lack、クリス・ブラウン、AJ・トレイシーなどが参加した待望のデビューアルバム『Rave & Roses』をリリースした際には、「全米Billboardアフロビーツチャート」に収録曲10曲がチャートインという快挙を成し遂げた。楽曲「Calm Down」は、リリースから5カ月経ってチャートインし、「YouTube史上最も再生されたアフロビーツ曲」に認定される。2022年8月にはセレーナ・ゴメスが参加したリミックスがリリースされ、「Billboardシングルチャート」で全米5位を獲得した。

レマ&セレーナ・ゴメス

 「Calm Down」のリミックスはこれまでに数々の歴史的記録を達成している。レマは、リードアーティストとして「Billboard全米シングルチャート」トップ5に入った初のナイジェリア人となった。以前ウィズキッドがドレイクの「One Dance」、そしてテムズがフューチャーの「Wait for U」でチャート首位を獲得しているが、リードアーティストとしてナイジェリアのアーティストがトップ5に入るのはレマが初となる。

 また、5月8日付のチャートで35週チャートインを記録し、ウィズキッドの「Essence」が保持している「アフリカの楽曲における最長チャートイン記録」とタイとなった。カナダの「Billboardシングルチャート」でも「Calm Down」のリミックスは1位となり、こちらもナイジェリアのリードアーティストとして初となる(※3)。

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