エレファントカシマシ、支持され続けるライブパフォーマンスのあり方 アリーナツアーにも感じた確固たる上昇志向

 今ツアーは声出しが解禁されたこともあり、「so many people」や「ファイティングマン」では拳を突き上げ、会場一体で声援を送ることが可能となった。さらに、バンドが35周年を迎えたことで、宮本自身の心境にも変化があったようだ。ライブ終盤に披露された「RAINBOW」は演奏頻度が高く、盛り上がる曲としてファンに人気の曲で、ラストの大サビで宮本が「まるでRAINBOW それが俺だ! 俺がヒーローだ!」と叫んだ。宮本の生き様がそのまま突き刺さってくるような歌詞と力強い歌声により、観客のボルテージは最高潮に達した。もちろん、激しい音楽だけではなく、ストリングスを加えての「リッスントゥザミュージック」は原曲とは違った大人の雰囲気で、弦楽器や鍵盤と共に宮本の優しい歌声が奏でられ、拍手が鳴り響いた。

 宮本は以前インタビューで、「安定したファンに囲まれて活動を続けていくスタイルも素敵だけれども、私は戦い、挑戦する人生を選びたい。自分の歌を聴いたことがないという人たちにも届けたい。時間は有限だからこそ、今を大切に、一曲一曲を丁寧に歌っていかなくてはいけないんです」と語っていた(※1)。4人それぞれが一つの音楽を制作するために熱量を持って練習し、本番で最高のパフォーマンスを観客にぶつけることは容易いことではない。だが、そういった状況の中でも常に反骨精神を持ちながら、次に向けて行動できるのは強い結束力があるからで、35年共に第一線で戦ってきた仲間たちを想う心と、宮本の確固たる上昇志向の表れなのではないだろうか。不遇の時代が続き、もがき続けてきた男たちの瞳にあるものは、常に売れ続けたいという一種の生命力だ。そして、40周年からその先へのビジョンを持ち、楽曲「戦う男」のように走り続けていくのだろう。昔のような荒々しさとは違った大人の戦い方で、次のライブもさらなる進化を遂げているに違いない。

※1:https://gendai.media/articles/-/78649?page=5

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