エレファントカシマシ、支持され続けるライブパフォーマンスのあり方 アリーナツアーにも感じた確固たる上昇志向

 今年デビュー35周年を迎え、4月23日にツアーファイナルを行ったエレファントカシマシは、洗練された歌声と血気迫るパフォーマンスで観客を沸かせ、アリーナツアー『35th ANNIVERSARY TOUR 2023 YES. I. DO』を成功させた。

 エレファントカシマシのライブの魅力といえば、何といっても宮本浩次(Vo/Gt)の圧倒的な声量と気迫。そして中学〜高校時代にかけて出会った仲間である石森敏行(Gt)、冨永義之(Dr)、高緑成治(Ba)による、宮本の絶唱を支えられるのはこの3人だけだと思わせるような息の合った演奏だ。例えば、今回のツアーでも披露された「珍奇男」や「待つ男」は、独特なテンポと、宮本の魂が込められたロングトーンや息遣いが目立つ曲で、毎回変化する歌い方にあわせて演奏できることに、彼らの信頼関係がみえる。

 また、エレファントカシマシはMCの時間が全くと言っていいほどない。まるで、“無駄な言葉は必要ない、俺たちの演奏が言葉だ”というようなパフォーマンスが繰り広げられていく。彼らが積み上げてきたキャリアの中で、ファンに支持されてきたのはその武骨な精神と在り方だ。今では「俺たちの明日」や、3月8日)に発売されたシングル曲「yes. I. do」に代表されるような人生の応援歌、人々を後ろから熱く鼓舞してくれるような歌が有名だが、初期はむしろ逆であった。己を自省する曲や、激しい言葉で罵りながらも自分の在り方を気づかせてくれるような曲が多く、宮本の世を憎み、蔑みながらも諦めない姿勢にファンは何度も心を打たれた。エレファントカシマシが毎年のように開催してきた日比谷野外大音楽堂の公演では、この時代を代表する曲が多く披露され、都会のビルの中で空を見上げながら聴く曲は普段よりも切ない雰囲気となる。

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