『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』、ゲームBGMが壮大な映画音楽に 秀逸な既存ポップスのセレクトも
もちろん、サントラには映画オリジナルの楽曲も数多く収録されている。その白眉は、クッパが流麗にピアノを弾きながらピーチ姫への愛を歌いあげるM-17「Peaches」だろう。クッパ役を演じているのは、『キング・コング』(2005年)や『ジュマンジ』シリーズで知られる激烈俳優、ジャック・ブラック。そう、小学生たちをバンドに引きずり込んで、ハードなロックナンバーを激唱していた『スクール・オブ・ロック』(2003年)の彼だ。
ジャック・ブラックが出演すると知った時点で、おそらくクッパが歌うシーンがあるんだろうなと何となく予想はしていたが、まさかあんなに切なくも笑えるバラードを披露するとは。〈Peaches, Peaches, Peaches, Peaches, Peaches〉とピーチ姫の名前を連呼する場面は、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のハイライトの一つであると断言させていただきます。
サントラには収録されていないが、映画には既存のポップミュージックも数多く使われていて、それがまたイイ。映画の序盤で、配管工事を始めたばかりのマリオとルイージが、横スクロールのオリジナルゲームを再現するかのようにブルックリンの街を駆け抜けていくシーンがあるが、その時に挿入されるナンバーがBeastie Boysの「No Sleep Till Brooklyn」。「ブルックリンに着くまでは眠れない=仕事で休めないぜ!」というゴキゲンなヒップホップだ。
マリオたちがカートに乗り込むときに流れるのは、メタリックなギターリフが超絶カッコいいAC/DCの「Thunderstruck」。マリオたちが配管工としてニュー・ライフをスタートさせるエンディングでは、Electric Light Orchestra (ELO)の「Mr. Blue Sky」が使われていた。
筆者が個人的に面白いと思っているのは、「Mr. Blue Sky」は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017年)に、「No Sleep Till Brooklyn」は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』(2023年)にも使用されていること。そして、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』も、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズも、主役を演じているのはクリス・プラットだ。ひょっとしたらその辺り、多少の目配せがある楽曲セレクトなのかも。
この原稿を書くにあたって筆者は本作のサントラを聴きまくり、完全に無敵モードに入っている。気分は完全に「No Sleep Till Brooklyn」。リアルサウンドさん、もっと原稿の依頼をください。無限1UPばりに書きます。
※1:https://newsroom.loc.gov/news/national-recording-registry-inducts-music-from-madonna%E2%80%93mariah-carey%E2%80%93queen-latifah%E2%80%93daddy-yankee/s/5a91b115-3825-4a5f-a702-35940b4de958
■公開情報
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』
全国公開中
声の出演:クリス・プラット、アニャ・テイラー=ジョイ、チャーリー・デイ、ジャック・ブラック、キーガン=マイケル・キー、セス・ローゲン、フレッド・アーミセン、ケヴィン・マイケル・リチャードソン、セバスティアン・マニスカルコ
脚本: マシュー・フォーゲル
監督:アーロン・ホーヴァス、マイケル・ジェレニック
製作:クリス・メレダンドリ(イルミネーション)、 宮本茂(任天堂)
日本語版吹替声優:宮野真守(マリオ)、志田有彩(ピーチ姫)、畠中祐(ルイージ)、三宅健太(クッパ)、関智一(キノピオ)
配給:東宝東和
©︎2023 Nintendo and Universal Studios
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