安斉かれん、音楽と飾らない言葉で体現した“アンチヒロイン”の精神 「私のことを“ウザイ”と思う人もいっぱいいる」

安斉かれん、“アンチヒロイン”の精神

代弁というよりは「よかったら共感してね」くらいな感じでいたい

「YOLOOP」

ーーデビューの頃から安斉さんは世の中に対してのフラストレーションを楽曲として吐き出してきた側面があると思っていて。そのリアルな感情に共感、共鳴しているファンの方もきっと多いはず。ご自身の中には、様々な悩みを抱える若い世代の気持ちを音楽で代弁していきたいという思いもあるんじゃないですか?

安斉:代弁していきたいなんて言うと「デカい口叩くなよ」って自分で思っちゃうんですけど(笑)。でも、せっかく自分の思いを曲に乗せて発信できるので、そこは大事にしていきたい部分ではありますよね。で、もし私と同じ気持ちの人がいて、「かれんちゃんがこう歌ってくれてるから私もいいんだな」みたいに思ってもらえたらすごく幸せなこと。代弁っていうよりは、「よかったら共感してね」くらいな感じでいたいんです。

ーー作詞に加え、本作にはご自身で作曲された「GAL-TRAP」「不眠症☆廃天国」「YOLOOP」も収録されていますね。個人的には「YOLOOP」がすごくいいなと。

安斉:「YOLOOP」は「不眠症☆廃天国」と同じタイミングで作ったんですよ。「不眠症☆廃天国」がゆったりした曲だったので、その反動でゴリゴリなロックをやりたくなっちゃって(笑)。現場でギターを弾いてもらって、その場でメロをつけて作っていったんですよね。わりとすぐ、1時間くらいでできちゃいました。

ーーご自身からメロディが生まれるときは、いつもそれくらいのスピード感なんですか?

安斉:いや、もちろん全然出ないときもありますけど、言ってもまだ自分で作曲した曲がそんなに多いわけじゃないので、比較的スムーズにメロディは出てくる気がします。まだネタ切れはしてないと思う(笑)。

ーー普段からメロディを書き溜めていたりもするんですか?

安斉:ふと浮かんだメロがいいなと思えば、最近はiPhoneのボイスメモに入れたりはしてますね。今回のアルバムもそうですけど、私は本当にいろんなクリエイターさんとご一緒させていただくことが多いので、そこで受ける刺激は自分の作曲にも生きているんじゃないかなって思います。作曲は楽しいので、今後も頑張って続けていきたいですね。

ーーバラエティに富んだ楽曲に合わせて、ボーカルも多彩な表情を見せてくれています。歌に関してはどんな思いで向き合っていますか?

安斉:例えば「へゔん」のような洋楽テイストな曲は、日本語が乗っているけど英語っぽく流れるように歌うことは意識しました。かと言って、気取った感じにもしたくなかったので、そこはいい塩梅を探りながらレコーディングしましたね。その感覚は今回、初めての挑戦だったと思います。

「へゔん」

ーー以前、インタビューさせていただいたとき、最近は積極的にディレクションを受けているというお話をされていましたよね。自分だけの感覚で歌うと表現が狭まってしまうから、という理由で。

安斉かれん:今回もいろいろディレクションしてもらいながら歌っていきましたよ。ただ、最終的なニュアンスの方向性は自分で決めることができるようになったところもあって。私が最初にパッと歌ったものを採用してもらえることもけっこう多かった気がします。今回は歌詞の内容的に、自分じゃない誰かを演じながら歌ってみようっていう意識がけっこう強かったかもしれないですね。

「ら・ら・らud・ラヴ」

ーー誰かを演じることで歌いやすくなるんですかね?

安斉:そうですね。演じないと入り込めない時もあるじゃないですか。「Secret Love」とか「ら・ら・らud・ラヴ」なんかは特にですけど、自分で書いたとは言え、ちょっと照れくさい。まぁ今回一番なり切って歌ったのは「私はドキンちゃん」ですけどね。その曲の主人公になりきって歌うのは幅も広がって、レコーディング中も楽しかったな。

ーーデビューからの活動を総括する意味合いも持つ2枚のアルバムをリリースしたことで、未来に向けたビジョンも見えてきていますか?

安斉:やりたいことの一番はライブですね。バンドさんと一緒にライブハウスを周ってみたいです。ライブで地方に行ったことがないからツアーをやりたいです。バンドの演奏だと印象がガラッと変わる曲もあると思うんですよ。今回で言えば「おーる、ベジ♪」なんかはすごく変わりそう。バンドでどう聴かせようかなとか、そういうことを妄想するのが楽しいんですよね。そういうスタイルでやると、私のボーカルも荒ぶっちゃうかもしれない(笑)。

ーー今の安斉さんはますます音楽を楽しんでいる感じですね。

安斉:音楽を楽しむ気持ちはどんどん増していますね。ほんとに幸せなことだし、楽しいです。音を楽しむって書いて音楽ですから。楽しくなかったら意味ないですもんね(笑)。

■リリース情報
1stアルバム『ANTI HEROINE』
各配信リンク:https://kalenanzai.lnk.to/ANTIHEROINE

1stアルバム『僕らはきっと偽りだらけの世界で強くなる。』同時リリース
各配信リンク: https://kalenanzai.lnk.to/bokurahakitto

■安斉かれん 関連リンク
https://linktr.ee/kalenanzai_official

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