ツミキ×藍にいな×鈴木愛理のコラボ曲で注目集める『音と画』 柴那典が「テレビ番組×楽曲制作」の画期性を考える
ツミキがディレクションしながらの鈴木愛理の約4時間半におよぶレコーディングを経て、楽曲は完成。制作をスタートしてからリリックビデオが完成するまでにかかったのは10日間だという。
さらに、「お!」と思ったのは、出来上がった楽曲をスタジオで聴いた時のリアクションだった。「shampoo」はミドルテンポでお洒落なコード感の楽曲。ポイントはサビでの転調にあるのだけれど、初めて聴いた段階で「おいおいおい、転調!」と粗品が指摘しているのは流石だと思った。一枚のイラストを元にエフェクトやカットアップを繰り広げて動画に仕上げるリリックビデオの作り方の解説も的確だった。
で、だからこそ、番組の最後に「マジでこれYouTubeにあがるんですか? 誰の?」とスタッフに聞き、日本テレビの公式チャンネルにアップされると聞いて「あかーん!」と天を仰いだ粗品のリアクションは、まさに的を射たコメントだと思った。番組のチャンネルを作った方がいいと朝日奈央が提案する流れもリアルだった。
この番組がTVerとhuluで見逃し配信されていることが象徴的なように、現在のテレビを巡る状況は、放送と配信がシームレスに結びついていることが前提になっている。地上波テレビ局がYouTubeでの発信に力を入れるようになったのもここ数年のことだ。
特に日本テレビはバラエティ番組や情報番組の単独チャンネルも多く、YouTubeの「日テレ公式チャンネル」からは、さまざまな番組の予告動画が日々発信されている。こうした状況において「Shampoo」という曲のリリックビデオが「日テレ公式チャンネル」で発信されることで埋もれてしまうことへの危惧があったのだろう。また、テレビ局の公式チャンネルではなく番組やクリエイターのチャンネルで公開された方がネット発のバズに結びつきやすいという実感もあったはずだ。
ともあれ、「Shampoo」という曲が広まっていくことによって、『音と画』が開拓した「テレビ番組×楽曲制作」という音楽の新しいクリエイティブな可能性もより大きく広がりそうな予感がする。今の時代のバズはロングタームで生まれるようなことも多い。たとえば「歌ってみた」などの関連動画をきっかけに「Shampoo」という楽曲を知ったリスナーが見逃し配信で『音と画』を視聴するということもあるだろう。
できれば1曲だけの単発の企画で終わらずに続けてほしい。この先の展開が楽しみになる番組だった。
■番組概要
『音と画』4月4日(火)23:59に日本テレビ系にて放送済み
出演者
MC:粗品(霜降り明星)
ゲスト:京本大我(SixTONES)/朝日奈央
ボカロP:ツミキ/歌手:鈴木愛理/絵師:藍にいな
見逃し配信
TVer:https://tver.jp/series/srdxms1uex
hulu:https://www.hulu.jp/music-and-picture
■関連リンク
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