『あんさんぶるスターズ!!』オルタードとfine-Oが紡ぐ物語 細かな演出で示す過去の絆と新しい歩みの肯定
かつてのfineであったfine-Oは、正反対のカラーでその進化を示した。
元々ユニットとして活動していたこともあり統一感や息のあったやりとり、雰囲気を揃えることができているのは強みと言えるだろう。エレガントさや煌びやかな雰囲気はfineのイメージを踏襲し、光が飛び散り羽根が舞う演出は天使のイメージそのもの。だが、旧fineの示した無垢な印象とはどこか違う。荘厳で高貴さを感じさせるメロティと、疾走感のあるストリングスに加え、ベースラインとドラムが力強さを与えている。地に足のついた振り付けからは、経験によって確かな実力が伴った新しいユニット・fine-Oとしての色を感じさせる。
楽曲だけでなく、振り付けやライティングからもわかる通り、fineやSwitch、Edenといったメンバーそれぞれが現在所属するグループの有する特徴が散りばめられていることで、旧fineを過去のものとし、それが却って今現在のfine-Oの色をあらためて感じさせるのも心憎い演出だ。
どちらの楽曲も、懐古ではなく過去を踏まえた新機軸として提示することで、それぞれの歩みを肯定しているのがポイントだろう。今現在所属するグループへ最大限の敬意を払いながら、長い時を経たからこそ成せる特別なパフォーマンスで、多くの人の心を動かしたのだ。
過去の出来事が転じ絆となり、美しい音楽や舞台芸術に変化していく様を体感できるのは、ファンにとっても大きな喜びとなったのではないだろうか。大人数のアイドルを擁し、キラキラとした舞台の裏側に複雑に絡み合った人間ドラマが繰り広げられている『あんスタ』だからこそ、このような心憎いサプライズが可能なのだろう。
一時は共に過ごした仲間たちがバラバラになり、それぞれのアイドル人生を邁進してきた。そして再び集結し、新しい魅力を見せた今回のパフォーマンスは、彼らの物語に寄り添ってきたファンにとっては最大のギフトだったのではないだろうか。
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