SKY-HI、YOSHIKI、三代目JSB ØMIはどんなグループを育て上げる? トップランカーのキャリアが滲み出るプロデュース術の特色

 2023年の日本の音楽シーンは、ダンス&ボーカルグループの群雄割拠が加速する1年となりそうだ。というのも、ラッパー/BMSG CEOのSKY-HI、X JAPANのYOSHIKI、三代目 J SOUL BROTHERSでボーカルを務めるØMIのプロデュースするグループが、2023年内にデビューを迎えるからだ。グループやバンドで輝かしい実績を残しながら、現在はプロデューサーやコンポーザーとしても活躍する彼ら。それぞれキャリアの異なる3名が、同じ年にプロデュースの第一線でさまざまな話題を生み出しているのは、非常に興味深いことではないだろうか。

 そこで今回、SKY-HI、YOSHIKI、ØMIの3名に焦点を当て、彼らのキャリアの概要やアーティストとしての特徴を振り返りながら、プロデュース業に活かされている経験や手腕について考察してみたい。

緻密な計算と自身の経験からくる想いがプロデュースに活きるSKY-HI

 SKY-HIは2005年、男女混合ダンス&ボーカルグループ・AAAのメンバーとしてメジャーデビューを果たした。AAAはデビュー直後から破竹の勢いで人気を獲得し、日本の音楽シーンを牽引。SKY-HIはグループの中で主にラップを担当し、リリックメイキングも自ら手がけてきた人物である。

 そんな彼のキャリアを語る上で、ラッパーとしての活動歴は外せない話題だ。SKY-HIは日本のアーティストとしては珍しく、グループでのデビュー直後から、ソロ活動をアンダーグラウンドで開始してきた。都内のクラブシーンを中心に、レーベル非公認でマイクを握り続け、地道な活動を継続。その結果、ソロでも成功を収めた実績を持っている。

 例えば、2012年にはSKY-HI主催の楽曲制作企画で様々なラッパーとコラボした『FLOATIN’LAB』をリリース。そのほかKREVAなど多数のアーティストへの客演参加を経て、同年の「WOOFIN’ AWARD 2012 ベストオブラッパー部門」を受賞した。2013年8月にはソロでメジャーデビューを果たし、毎年のようにアルバムをリリースしながら、音楽シーンに数々の話題を残してきた。リリースする楽曲もライブツアーも、SKY-HIとしての活動全体をセルフプロデュースして成功してきた経験は、彼が音楽事務所・BMSGの代表としてボーイズグループをプロデュースする上で、大きく役立っているに違いない。

MAZZEL / MISSION -Music Video-

 そして、SKY-HIを1人のプロデューサーとして見たとき、その手腕には2つの特徴が見られるように思う。1つ目が、彼の手がける作品は単なる「ものづくり」を超え、現在の音楽シーンを海外も含めて冷静に分析しながら、「今、何を、どう届けるべきか」を緻密に計算して作品をつくり込む点だ。例えば、BE:FIRSTのMVはK-POPや音楽シーンのトレンドを踏まえたアプローチで映像が制作されているほか、SKY-HIの生み出すリリックは時代の世相や空気感が巧みに反映されたものとなっていることも多い。

BE:FIRST / Bye-Good-Bye -Music Video-

 2つ目が、SKY-HIがこれまでキャリアを歩む中で感じた葛藤が、プロデュースの中で活かされている点だ。彼はAAA・日高光啓、ラッパー・SKY-HIという2足の草鞋で活動を続ける中で、当時はまだダンス&ボーカルグループとHIPHOPのコンセプトを両立することが珍しかったことから、「(アイドル・ヒップホップ)どちらの世界でも理解されなかった。やっと日本でも、自分と同じようなスタンスのラッパーが生まれつつあるけれど、あの体験を次の世代には、もうしてほしくない」と感じたという(※1)。その想いは、彼の立ち上げたBMSGが「才能を殺さないために」というスローガンを掲げたことにもつながっている。自身の経験とスキル、想いをベースとして、BE:FIRSTとMAZZELという2組のボーイズグループを世に送り出した。それがプロデューサーとしてのSKY-HIなのである。

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