BABYMETALの終わりと始まりーー「THE OTHER ONE」がついに完結 3人のパワフルなステージで魅了した2日間を総括

BABYMETAL、ぴあアリーナ2days総括レポ

 BABYMETALが4月1、2日、神奈川・ぴあアリーナMMでワンマンライブ『BABYMETAL BEGINS - THE OTHER ONE -』を開催した。

 2021年10月10日をもって、ライブ活動を“封印”してきたBABYMETALは、今年1月28日、29日に行われたワンマンライブ『BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE -』(千葉・幕張メッセ国際展示場)を開催。10年間の活動を経て“LIVING LEGEND”になった彼女たちが、バーチャルワールド“METALVERSE”を通じ、もうひとつのBABYMETALを復元させる「THE OTHER ONE」という新たなストーリーとともに復活を遂げた。

 今回の『BABYMETAL BEGINS - THE OTHER ONE -』では、キツネ様に召喚されたSU-METAL(Vocal&Dance)、MOAMETAL(Scream&Dance)、MOMOMETAL(Scream&Dance)による“新生BABYMETAL”が誕生。BABYMETALの終わりと始まり、そして、新たなストーリーへと進む記念碑的なライブとなった。

4月1日「BLACK NIGHT」

 「BLACK NIGHT」と題された初日(4月1日)。白と青のレーザー、大量のスモークによる神秘的な雰囲気のなか、棺の前に立ったSU-METAL、MOAMETALが上段のステージに登場。爆発的な歓声のなかで「THE LEGEND」が鳴り響き、ライブの幕は切って落とされた。さらに「メギツネ」(“ソレソレソレソレ!”の掛け声によってオーディエンスが踊りまくる)、「ギミチョコ!!」(早くもモッシュが発生!)と初期の楽曲を披露。「今日は来てくれてありがとう! 最後まで楽しんでいってね!」と叫ぶSU-METALの笑顔も最高だ。

 ライブの軸になっていたのは、ニューアルバム『THE OTHER ONE』の楽曲だった。本作は、時空を超えて存在する10のパラレルワールドを表現した初のコンセプトアルバム。現実世界と仮想世界の狭間に迷い込んだ状況を描いた「MAYA」、鏡、幻想、現実の自分などをモチーフにしながら、パラレルワールドの概念をダイレクトに体現した「Mirror Mirror」は、この日が初披露。どちらも超ヘビィなギターリフが炸裂し、爆音に合わせて観客が頭を振りまくる。エレクトロ的な音像を取り入れ、時間を超越した世界を映し出す「Time Wave」では、SU-METALが伸びやかなボーカルを響かせ、「THE OTHER ONE」へとオーディエンスを誘う。楽曲のテーマや音像とリンクした巨大な映像、さらに精度を上げたダンスパフォーマンスを含め、BABYMETALの新たな進化を体感できるシーンが続いた。

 「“FOX FIELD”によって、別の次元から何かが現れようとしている……」という内容のメッセージとともに披露された「KARATE」では、幕張公演でも登場した“もうひとつのBABYMETAL”が出現。過去のライブ映像が映し出す演出もエモーショナルだった。

 この後も初披露の楽曲が続いた。まずは全編英語詞の「Believing」。“季節は巡り、人々は変わり続ける。それでもなお、あなたを信じている”という思いを込めた歌詞をダイナミックに響かせるSU-METAL。楽曲のメッセージ性を増幅させるようなMOAMETALの心のこもったダンスも印象的だった。続く「METALIZM」はトライバルなビート、エキゾチックな旋律を軸にしたアッパーチューン。サイケデリックトランス的な響きもあるこの曲は、今後のライブにおいても強烈なスパイスになるはずだ。

 「Distortion(feat. Alissa White-Gluz)」からライブは後半へ突入。イントロがはじまった瞬間、強烈なモッシュが巻き起こり、シンガロングが発生。SU-METALが「ぴあアリーナ! 全然聴こえないよ!」と煽ると、興奮はさらに引き上げられた。さらに「PA PA YA!! (feat. F.HERO)」ではタオルを振り回しながら盛り上がり、「Road of Resistance」ではウォール・オブ・デスも発生。前回の幕張公演で声出しが解禁されたわけだが、この日のテンションはまさに最高潮。SU-METAL、MOAMETALもいつになく笑顔が多く、ライブという場所を全身で楽しんでいることが伝わってきた。

 少しのインターバルを挟み、「DEATH IS THE ONLY WAY TO LIVE」を掲げたムービーへ。ここで十字架に磔にされたBABYMETALがステージに現れ、真っ赤なレーザーに彩られた「BABYMETAL DEATH - Shin ver. -」へ。ラストは「イジメ、ダメ、ゼッタイ」。SU-METALの歌声はライブ終盤でさらに凄みと美しさを増し、MOAMETAL、アベンジャーズのバトル風のダンスも切れ味抜群。圧倒的なカタルシスのなか、「We are!」「BABYMETAL!」のコール&レスポンスが響き、ライブは終演を迎えた。

 BABYMETALコールが続くなか、エンディングムービーが映された。“METAL RESISTANCE”を掲げたこれまでの活動を追体験できるような映像(特に東京ドーム公演の映像にはグッと来た)の後、「BABYMETALはLEGENDとなり終わりを遂げた」「そして、キツネ様によって新生BABYMETALが召喚される」というアナウンスが。SU-METAL、MOAMETALに続いてMOMOMETALが紹介されると、会場は凄まじい歓声と拍手で包まれた。そしてステージにはクリスタルの棺桶の前で、クリスタルに輝く新しいバトルスーツをまとった新生BABYMETALの姿がーー。

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