YOASOBI「セブンティーン」がTikTokチャート首位に 複雑な展開を軽やかに駆け抜ける、スキルフルな歌とメロディ

 Billboard JAPANの「TikTok Weekly Top 20」は、TikTokにおける視聴数のみならず、楽曲がどのように使われて視聴されているのかを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの3月29日付のTOP10は以下の通り(※1)。

1位:YOASOBI「セブンティーン」
2位:BE:FIRST「Boom Boom Back」
3位:有華「Baby you」
4位:BE:FIRST「Smile Again」
5位:HoneyWorks「可愛くてごめん (feat. かぴ)」
6位:ジョージ・エズラ「Green Green Grass」
7位:大塚愛「さくらんぼ」
8位:チャーリー・プース「I Don't Think That I Like Her」
9位:Kanaria「酔いどれ知らず」
10位:新しい学校のリーダーズ「オトナブルー」

 今週は初登場1位となったYOASOBI「セブンティーン」をピックアップする。

 昨年から、4名の直木賞作家とのコラボレーション楽曲をリリースしてきたYOASOBI。その第4弾となる本曲は、宮部みゆき『色違いのトランプ はじめて容疑者になったときに読む物語』を元にして制作された1曲だ。本曲のリリースは3月27日で、冒頭で触れたTikTok Weekly Top 20の集計期間(2023年3月20日~3月26日)を見ると、リリース前にチャート1位を獲得したことになる。3月22日からTikTokで先行配信がスタートしたこと、さらにメルセデス・ベンツ日本とコラボレーションし、4月5日からスタートするYOASOBI初のアリーナツアー『YOASOBI ARENA TOUR“電光石火”』のチケットが当たる動画投稿キャンペーンを行うなど、しっかり“しかけ”を準備していたこともチャートアクションに影響したとは思うが、最大の理由はYOASOBIのアーティストパワーにあると思う。日本において、今、YOASOBIを知らないという人はほとんどいないだろう。

 「セブンティーン」は、YOASOBIサウンドのひとつの特徴であるドラマティックなフレーズの繰り返しで幕を上げるアップチューンだ。サビでの転調、間奏でのリズムパターンの変化、効果音的な音色の使い方、最初と最後で転調しつつ同じフレーズを奏でる楽曲構成など、情報量の多い1曲といえるが、一聴してそう感じさせないポップスに仕上げているところが相変わらずニクイ。リズムを殺さない音数のメリハリも抜群で、軽やかに駆け抜けるような楽曲の疾走感を後押ししている。サウンドそのものにも物語が進行するような緩急があるYOASOBIだが、本作ではメロディと言葉のマッチングの精度がこれまで以上に研ぎ澄まされ、Ayaseが表現者として確実にアップデートされているのがわかる。

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