Nissy(西島隆弘)、6大ドームツアー完走 独自のエンターテインメントの美学が詰まった東京ドーム公演を振り返る

 2月17日、Nissy(西島隆弘)が『Nissy Entertainment 4th LIVE 〜DOME TOUR〜』を東京ドームにて行なった。同公演は2022年10月21日を皮切りに、6大ドームを回るツアー。(3月25日、札幌にて追加公演が行われた)ソロアーティストが6大ドームツアーを行なうのは史上2人目となる。約3年半ぶり、約45万人の総動員数を記録したツアーの集大成をレポートしたい。

 ライブ開始前、モニターにはAIの“THREE”が登場し、観客を盛り上げる。東京ドームには「高密度生命体」なるものが近づいており、「衝撃に備えてください」というAIのアナウンスとともに会場に到着するまでのカウントダウンが始まる。高密度生命体の正体は、AIのご主人ことNissy。オープニングムービーが終わると、「Do Do」からライブがスタートする。始めは映像の中にいたNissyだが、2コーラス目からステージに姿を現す。白いトップスにパンツというシンプルな衣装だったが、会場を一気に熱気で包み込むパフォーマンスだ。実際、約3年半という時間を取り戻すように会場からは大きな歓声が上がった。続いて「Trippin」。ダンサーとともにムービングステージに乗り、センターステージに移動。キレのあるダンスを踊ったかと思えば、変顔をしてお茶目さを見せたり。それでいて歌声はバチバチにキマっていた。赤い照明に変わって始まったのは「The Ride」。ムービングステージでバックステージに移動していく間、カメラにもしっかりアピールするNissy。こうした細かなサービス精神は最後の最後まで続いており、流石のひと言だ。

 「東京の皆さん、元気ですか? 盛り上がる準備はできてますか? みんな声出していこうぜ!」と観客を煽ると、「ひと足早いけど、一緒に夏を体験しませんか?」と「Never Stop」へ。さらに「Relax & Chill」へと続き、爽やかで涼し気な空気が会場を包み込んだ。Nissyがターンを決めると、「Jealous」がスタート。ギュッと目をつぶったキュートな顔を見せてさらに観客を楽しませ、オープニングパートを駆け抜けた。

 ここで映像が流れる。時空移動できるNissyと、ある女性の物語がライブ全体を通して進んでいくのだが、その序章である。長くとどまることで時間軸に歪みが生じてしまうため女性から記憶を消さなければならず、涙を見せるNissy。さすがの演技力を見せた後に披露したのは、「君に触れた時から」。その後も、物語に沿うように「Don't Stop The Rain」、「Say Yes」と熱いパフォーマンスをし、観客をますます魅了していった。

 ここで雰囲気が一転。s**t kingz・kazukiとRADIO FISH・Show-hey、Nissyの3人によるラジオ番組風映像「Nissy EntertainmentオールナイトNissy」や、お笑いコンビ・チョコレートプラネットとのコント映像が流れる。先ほどまでのクールな姿からは想像できない、コメディチックな一面を見せた。この振り幅の広さも彼自身、そして彼のライブの魅力だろう。ここで客席にトラの着ぐるみにうさ耳をつけたダンサーの運転する車が登場。後部の大きなトランクケースから同じく着ぐるみを着たNissyが登場し、優雅に手を振っていく。そのまま次の曲に向けて振りつけ講座がスタート。ひと通りレクチャーが終わると、「このコーナーのためだけに用意したいい値段の着ぐるみ」もお役御免。会場にチアダンサーが入場する中、キャップとパステルカラーのアウターに着替えつつ、メインステージへと向かっていく。「OK、じゃあ行ってみようぜ!」の声で「DANCE DANCE DANCE」へ。会場のダンスもコール&レスポンスも完璧で、一気に一体感が生まれていく。加えてチアダンサーも含めたラインダンスは迫力満点だ。「まだまだイケるでしょ?」という言葉で飛び出したのは、「The Eternal Live」。アグレッシブなダンスナンバーを全力で披露すると、ダンスブレイク部分でバンドメンバーとダンサーの紹介が入る。それぞれ印象的なソロパートを披露すると、最後はNissyがブレイクダンスとアクロバット技でキメた。そして、その直後に再び歌い出しても、全く声がブレていないのが素晴らしい。

 最高にクールなパフォーマンスを終え、大きな歓声に包まれながら暗転が開けると、ステージに倒れ込んでいるNissy。激しく息を切らせつつ「足が攣りそうなんです」とつぶやく。ゆるりとトークを展開しつつ、ツアーを通して完全に声を出すことができるようになったことを振り返っていくNissy。さらに、「今回のアルバム『HOCUS POCUS 3』のテーマは、うまくいっていない出来事、うまくいっていない人がベース。それをエンタメにした」と思いを語った。また「人生に一度しかない今日という日にこの会場に足を運ぶことを選んでくれたことに感謝します」と感謝の気持ちを伝えた。

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