指原莉乃、峯岸みなみ、渋谷凪咲、須田亜香里、田中美久……AKB48グループが輩出したバラドルクイーンの系譜

TikTokでの思い切りの良い投稿、バラエティ番組でのノリの良さ

 田中美久は、彼女たちに続くバラエティアイドルのネクストブレイク最有力候補だ。そんな田中のバラエティ的なセンスを強く感じさせるのがTikTokである。たとえば2023年1月7日投稿「配信の切り忘れには気をつけましょう」では、視聴者に対して毒を吐きまくるライブ配信者が裏では良い人という「配信切り忘れの放送事故」の通常展開とは逆のパターンで笑わせた。また2022年9月26日「変顔とか可愛くするタイプやろって言われるけど」とのコメントとともに投稿された動画では、なんの躊躇もなく白目をむいて表情をゆがませるなどし、田中の思い切りの良さを感じさせた。

 『ホリケンのみんなともだち』2023年3月7日放送回の堀内健とのオープニングトークでは、9年前に福岡の番組で共演したとき、「東京へ行くぞ」と抱っこされて泣いてしまったことを告白。「あのときはご迷惑をおかけしました!」「大人になりました」とエピソードトークもうまく織り込んだ。その後も鍋の製造会社を訪問し、職人に積極的に質問したり、トークに大ウケしたり、ノリが良いところを見せた。同番組3月14日放送回では、無水鍋で作られたカレーを前に「絶対おいしいじゃん」とクルッと一周回るリアクションで笑わせたり、炊き立てのご飯を前に「私、お米が苦手なんですよ」と前振りしながら、一口食べた瞬間に美味しさのあまり顔をのけぞらせるような反応を見せて「わざとらしくないか」とツッコミを入れられたりして、その場をとにかく明るくした。そういう陽気な部分も、さまざまなバラエティ番組から声がかかる理由のひとつだろう。

 『あざとくて何が悪いの?』では、元カレからもらった時計について恋人の前で「捨てるのもなんかなと思って使ってる」と言ったり、LINEの既読はつけないのにSNSの更新はしている彼氏にイラッとしたり、価値観が違うカップルの女性役を演じた。コメディ系のドラマや映画でもこれからどんどん活躍できそうな、コミカルな芝居を披露した。

 書籍『HKT48 10周年スペシャル』(2022年/日経BP)のインタビューで、「20代で私は自分を変えたいって思っているんですよ」「大人の第1歩として“自立した女性”になりたいなって思います」と語っていた田中。その言葉通り、20歳を過ぎてどんどん個性が磨かれ、HKT48のメンバーとしてだけではなく、ひとりのタレントとして自立しつつある。AKB48グループのバラエティクイーンの系譜を継ぐのは、田中美久で間違いないだろう。

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