連載「lit!」第39回:ラフ×ラフ、CANDY TUNE、FRUITS ZIPPER……2023年期待のフレッシュなアイドル
美味しい曖昧
2020年より活動を始め、2月22日に結成3周年記念トークイベントを無事終えたばかりの5人組。このグループは楽曲で気になるものが多いです。昨年リリースした「ユーグレナはわかんない」や「さまさま」といった曲におけるロック的なアプローチはさほどめずらしくないものの、複雑なアレンジと洒落たコード進行は、普段アイドルに興味のない音楽マニアも喜ばせるでしょう。国内外を問わずロック/ポップス系のフェスでバンドとともに出演すれば、ロックファンにも受け入れられそうな気もします。まずはZepp Shinjuku(TOKYO)で6月に行うワンマンライブでパフォーマンスもチェックして、グループの総合的な魅力を把握したいと思います。
CIRGO GRINCO
ウルフルズ、氣志團、NUMBER GIRL、フジファブリック、相対性理論など、ロックファンなら誰もが知っている実力派を次々と発掘・育成した加茂啓太郎がプロデュースする3人組。アイドルらしい華やかさを残しつつ、多彩かつハイクオリティなサウンドを届けているのが最大のセールスポイントになっています。やっていることは難易度が高いにもかかわらず大衆性も感じられるのは、ひとえに彼女たちの実力の高さと人柄の良さのおかげだと痛感。加茂氏のお眼鏡にかなった人材はやはりひと味違いますね。マイベストトラックは、松井五郎と山川恵津子というJ-POPの大物作家が手掛けた「Agility」。鋭いギターカッティング、まろやかな歌声とハーモニー、ラテン風のクールなリズム――。入っている要素の何もかもがオンリーワンの輝きを放っています。
コロナ禍や物価高などネガティブになってしまうワードが目立つ今日この頃ですが、こういう時期こそアイデアで乗り切る姿勢が大切だと思います。私の専門ジャンルであるK-POPの世界は、今でこそお金と時間を惜しげもなく使って制作をしていますが、自国の弱小マーケットでどうしたら成功できるのかと黎明期に知恵をしぼった経験が、現在のワールドワイドな成功につながりました。紹介した5組もいろいろと試行錯誤しながら勝負し続けてほしいと願っております。