むぎ(猫)が描く、“復活”へ向かう希望のストーリー 四季折々の楽曲に込めた切実な願いを紐解く
スカラベが告げるのは、復活の春の訪れ。
昨年の春から四季をテーマに楽曲を配信リリースしてきたむぎ(猫)が、2月15日に第四弾となる「冬の惑星」をリリースし、四季のシリーズを完結した。
2017年、アルバム『天国かもしれない』を携え、音楽シーンに彗星のごとく現れたむぎ(猫)。見た目は猫、日本語を話し、木琴を華麗にプレイする姿が話題を集め『FUJI ROCK FESTIVAL』『RISINGSUN ROCK FESTIVAL』『WILD BUNCH FEST.』など多数の音楽イベントに招かれた。2019年にはアルバム『君に会いに』でメジャーデビューを果たし、その勢いのまま全国ライブツアーを開催。作詞・作曲はもちろんグッズデザインも手がけ、セレクトショップ「BEAMS」にて『むぎ(猫)展 TOKYO CULTUART by BEAMS』を開催したほか、アニメ『ねこねこ日本史』(NHK Eテレ)のエンディングテーマ「ねっこほって」を制作、シンガーソングライターのつじあやのとコラボレーションした「窓辺の猫 feat.つじあやの」をリリース。さらに、漫画雑誌『ねこぱんち』で、むぎ(猫)を主人公にした漫画が連載されるなど多方面で活躍。マルチに活動する猫界のスターだ。
むぎ(猫)が四季を歌うシリーズは、「歌うはるなつあきふゆプロジェクト」と銘打って昨年春にスタート。第一弾「春のフラワー」は、桜の花びらが舞う様子を神様からの祝福のギフトに見立て、切ない思いを胸に再び立ち上がり前を向く、新たな一歩を踏み出す力強さをやさしい歌声と言葉で歌い上げた。ミディアムのゆったりとしたテンポは、ゆっくり歩くくらいのスピードで。決して無理矢理手を引いたり背中を押すのではなく、自らの足と力でゆっくり立ち上がり自然に歩き出せるようにと、むぎ(猫)がやさしく促してくれているかのようだ。
一転、昨年8月に配信リリースした第二弾「夏の絵日記」は、軽快なスカビートと初挑戦となったホーンを取り入れたサウンドが、青い空に抜けていくような爽やかさ。歌詞にはラジオ体操や虫取りなど、誰もが思い浮かべる夏の思い出が満載になっており、聴いた誰もが、麦わら帽子をかぶって公園を駆け回っていたあの頃の童心を思い出す。2番では思春期の夏の思い出へと場面が展開し、花火大会で好きなあの子に告白したけど花火の音にかき消されてしまった、“花火大会の告白あるある”も描かれ、甘酸っぱくも鮮烈な夏の思い出が呼び起こされる。
ラップで意表を突いたのは、昨年10月に配信リリースされた第三弾「秋のU.F.O.」だ。深いディレイのかかったコーラスと共に鳴り響くディスコビートは、まさしく80年代のダンスミュージック。歌詞は秋の味覚をテーマにしており、タイトルの「U.F.O.」は、「Unidentified Fried Object」の略で、「未確認揚げ物」の意味とのこと。初めて食べる食材でも、揚げたらだいたい何でも食べられるという、むぎ(猫)の主観で繰り広げられる未知なる味への探求が、独自のユーモアあふれる歌詞でポップ&キャッチーに描かれた。