ラックライフ、シングル『しるし / ℃』が示す不屈のバンド像 これからを明るく照らす結成15周年に向かって

ラックライフ、不屈のバンド像

 “ロックバンド”と一口に言っても、その個性を特徴づける要素はさまざま。ボーカルの特筆した歌唱力や、高い演奏力で勝負するバンドもいれば、歌詞の説得力や類い稀なメロディセンスを武器とするものも。そのなかで、聴き手の人生を受け止めて、その存在を肯定すること。自分たちの音楽を聴いてくれる、誰でもない“あなた”に届けたいと、その想いをただひたむきに歌い続けることに懸けるバンドもいる。これから紹介するラックライフも、そうしたバンドのうちのひと組だ。

 大阪・高槻市出身の4人組ロックバンドであるラックライフ。前身バンドを経て、2008年に改名し、今年はいよいよ記念すべき結成15周年を迎えるまでに。そんな彼らが1月25日に発売する両A面シングル『しるし / ℃』は、前述のような「誰でもない“あなた”に届けたい」という想いを象徴する一枚となっている。「しるし」「℃」の2曲をそれぞれレビューしていこう。

「しるし」

 現在放送中のTVアニメ『文豪ストレイドッグス』(TOKYO MXほか)シリーズといえば、ラックライフを語る上では外せない作品。これまで劇場版のほか、第4期まで制作されている同アニメだが、ラックライフはそのすべてでエンディングテーマを担当しており、バンドのメジャーデビューを飾った2016年5月発売のシングル表題曲「名前を呼ぶよ」もまた、同アニメ第1期のエンディングテーマである。彼らの音楽を聴いて『文豪ストレイドッグス』における数々の名シーンが脳裏に蘇るファンも少なくないはずだ。

 今回、第4期のエンディングテーマに起用された「しるし」もまた、そんな名曲のひとつとなるだろう。どこか哀愁を漂わせるミドルバラードの本楽曲は、“君”に向けた“僕”の想いを表現。〈君が僕を見つけてくれた 僕が僕であるしるし〉というサビの歌い終わりに象徴されるように、〈からっぽ〉だった自分に〈心の居場所〉を与えてくれた大切な人への感謝を歌っている。“あなた”の存在を大切にしながら、タイトルにもある通り自らの“しるし”が濃くなっていくような未来に向けて歩んでいく。なんとも沁みるメッセージが丁寧に込められた一曲だ。

 ここでの“僕”と“君”の関係性については、視点によってさまざまなものに置き換えられるだろう。劇中に登場するキャラクター同士が交わす想い。自分たちの存在を世に知らしめてくれた『文豪ストレイドッグス』と、ラックライフの関係性と受け取れば、作品への感謝の歌としても聴こえてくる。

 そして何より、“他の誰でもないあなたが聴いてくれるのなら”という、結成以来の活動を支えてきた聴き手とバンドの間柄とも解釈できる。“ラックライフの音楽があるから”と、彼らの存在を〈心の居場所〉だと考えるケースもあるかもしれない。15年間以上もの想いの結晶。その結実といえるのが「しるし」なのである。

ラックライフ / しるし [Music Video](TVアニメ『文豪ストレイドッグス』第4シーズン ED主題歌)

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