Survive Said The Prophet、堂々たる自信が生み出す躍動感 キャリア最高峰を刻んだ『Hateful Failures Tour』ファイナル

サバプロ『Hateful Failures』ファイナルレポ

 コロナ禍と向き合い続け、さらにメンバー脱退という苦難をも乗り越えたSurvive Said The Prophet(以下、サバプロ)。彼らが今年10月にリリースした最新アルバム『Hateful Failures』は、間違いなくこのバンドにおける新たな代表作になる……そう確信させてくれたのが、同作を携えて開催された全国ツアー『Hateful Failures Tour』で展開された彼らのステージだった。2022年10月21日の金沢・EIGHT HALLを皮切りに全国11会場で行われたこのツアーのうち、筆者はツアーファイナルとなる12月20日のEX THEATER ROPPONGIに足を運んだ。

 Yosh(Vo)、Tatsuya(Gt)、Ivan(Gt)、Show(Dr)の4人で進行するステージは、彼らがこの1〜2年に開催してきた『something BOLD tour』や『something RAW -acoustic tour-』と同様。現編成で二度のツアーを経験したこと、しかもうち1回(『something RAW -acoustic tour-』)はキャリア初のアコースティックツアーだったこともあり、この日彼らが見せたパフォーマンス、Yoshから発せられたメッセージは非常に自信に満ち溢れたものだった。

 定刻通りに会場が暗転すると、「Hateful Failures Pt.1」がオープニングSEとして場内に流れ始める。メンバーがステージに姿を現すと、そのままアルバム同様に「Mary」へと続いてライブはスタート。しなやかでグルーヴィなリズムと2本のギターが絡み合うサバプロらしい1曲で、フロアのオーディエンスのハートを鷲掴みにすると、バンドはそのまま「Drive Far」「Beauty Queen」と新作からのキラーチューンを連発する。豪快さの中にも繊細さが備わったキャッチーな楽曲群は、続いてプレイされた初期のナンバー「I don't care」同様に観客から好意的に受け入れられていた。従来の“サバプロらしさ”を備えつつ最新型にバージョンアップされた新曲たちは、間違いなく今後も彼らにとってライブに欠かせない重要な楽曲になるーーこの日のライブを観た者なら、そう確信したはずだ。

 目の前で展開されるエネルギッシュなステージに対し、客席からは思わず歓声が漏れてしまう瞬間も多々あったが、それも頷けるものがある。それだけこの日のステージは高揚感に満ち溢れており、Yoshはそんなオーディエンスに対して「お前ら、しっかりマスクしてるか? しっかりルールを守って、やれることをやって帰れよ!」と呼びかける。以降も「Win / Lose」や「The Happy Song」と新旧の代表曲を立て続けに披露した後、激しく点滅する照明のもと「found & lost」で熱量が急上昇。疾走感が強いもののどっしりとした重量感が伝わるShowのドラム、Tatsuya&Ivanが繰り出す激しいギターサウンド、そしてエモーショナルなYoshのボーカルとShowによる攻撃的なスクリームが重なり合うことで、観る者すべてをカオティックな世界へと引きずり込み、ライブは序盤のクライマックスと呼ぶに相応しい盛り上がりを見せた。

 そんなフロアを一度クールダウンさせるように、ライブ中盤では『something RAW -acoustic tour-』で確認できた手応えを再度証明することに。Yoshが「ロックにはいろんなスタイル、いろんな形があって、それがロックの素晴らしさだと思っています」と本ツアーにアコースティックパートを設けた理由を説明してから、「S P I N E」「Mukanjyo」といった代表曲を新たなアレンジで披露した。どの曲も2本のアコースティックギターとシンプルなリズムというミニマルなアレンジで、楽曲が持つ繊細さを見事に表現。オーディエンスも思い思いに体を揺すりながら、このブロックをリラックスして楽しんでいる様子だ。

 サバプロにとって新たな武器といえるアコースティックブロックを経て、「Hopelessly young」からライブ後半戦に突入。“静”を強調した2曲から一転、ここからはダイナミックなバンドアンサンブルで“動”の要素で攻め続ける。シンガロングパートを多数含むサバプロの楽曲だが、かつてのように観客の歌声が聴こえなくてもステージとフロアの心がしっかり通じ合っている信頼感が、この日のライブからは感じ取ることができた。この信頼関係があるからこそ、バンドは惜しむことなくすべてをフロアに向けて出し切ることができるのだ。ダンサブルなビートでフロアを熱狂の渦に巻き込む「HI | LO」やスケール感の大きな「Right and Left」で、ライブはこの日何度目かのクライマックスを迎える。

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