LiSA、音楽番組での「炎」「一斉ノ喝采」の歌唱から感じたふたつのルーツ 2022年の活動で見せたロックシンガーとしてのあり方

 12月7日放送の『2022FNS歌謡祭』(フジテレビ系)第1夜で、LiSAが「一斉ノ喝采」と「炎」の2曲を披露した。ABEMA・テレビ朝日 FIFA ワールドカップ カタール 2022 番組公式テーマソングとして彩った「一斉ノ喝采」は、ギターリフが印象的なバンドサウンドにのせ、パワフルに歌い上げるLiSAのボーカルがサッカーファンだけでなく多くのリスナーの心を鼓舞したはずだ。ピンクのメッシュが鮮やかに映える長いポニーテールを揺らしながら歌うLiSAは、“サムライブルー”を思わせるフォーマルな青のドレスを身に纏い、力強いパフォーマンスを披露。対して番組後半の「炎」では、打って変わって黒いドレス姿に。これまでの音楽番組ではタイトル通り“炎”をモチーフとした演出での歌唱が多い印象だったが、吹雪の映像をバックに白い光の中で情感豊かに歌い上げる姿からは、楽曲が元々持っている静謐な熱さをかえって強く感じられた。

 「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」主題歌としてスマッシュヒットした「炎」をはじめ、人気アニメ作品とのタイアップ楽曲での活躍が印象的だったLiSAだが、今年はその枠にとどまらない活動の幅を見せつけた1年だった。ソロデビュー11周年のスタートを切るセレモニーとなった日本武道館公演から始まり、10周年プロジェクトに密着したドキュメンタリー番組がNetflixにて配信。さらに11月には堀江晶太(PENGUIN RESEARCH)やa flood of circleら、さまざまなロックミュージシャンとともに作り上げた6thアルバム『LANDER』がリリース。前述した『FNS歌謡祭』で披露された「一斉ノ喝采」はワールドカップ番組公式テーマソングに採用。本大会は日本代表が強豪のドイツ、スペインに勝利を収めベスト16に進出したこともあり、同楽曲を耳にすると自然と熱い気持ちが蘇る。

 また、TikTokで様々なクリエイターが振り付けを考案したダンス動画が注目を集めたのも記憶に新しい。日本的な趣を感じさせるメロディや思わず身体を揺らしたくなってしまうアッパーな曲調、さらにクラップのリフレインも相まってか、本大会を大いに盛り上げるサッカーアンセムとしてはもちろん、普遍的な応援歌としても存在感を示している。TikTokでの反響についてはLiSA自身も、TOKYO FM『SCHOOL OF LOCK! LiSA LOCKS!』11月23日放送回にてリスナーからの投稿を受け、「あれは嬉しいですね〜」と語っていたほどだ。

LiSA『一斉ノ喝采』 -MUSiC CLiP-(ABEMA・テレビ朝日 FIFA ワールドカップ カタール 2022 番組公式テーマソング)
LiSA - 一斉ノ喝采 / THE FIRST TAKE
【特別映像公開】LiSA書き下ろし "一斉ノ喝采" FIFA ワールドカップ カタール 2022ABEMA・ テレビ朝日 番組公式テーマソング スペシャルムービー

 LiSAのソロデビューシングルは、テレビアニメ『Fate/Zero』のオープニング楽曲「oath sign」だった。さらに言うなら、LiSA名義での初リリースはテレビアニメ『Angel Beats!』の中で重要な役割を担うガールズバンド Girls Dead Monsterの2代目ボーカルとしての作品。“LiSAといえば『鬼滅の刃』”という印象を持つリスナーも少なくないかと思うが、活動のルーツを辿ってもアニメとの関わりは深い。しかし、インタビューでも「私はパンクをやりたくてバンドで挫折して、じゃあ自分自身が必要としてもらえる場所を探そうと思って、そこで必要としてもらえた場所がアニメの世界だったんです」と自身で語っているように(※1)、そのもうひとつの柱はパンクやロックだ。今年のLiSAの活動からは、そんなロックシンガーとしての在り方を改めて実感させられた。

LiSA 『oath sign』-MUSIC CLIP Short Ver.-

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