集英社×エイベックスの多次元プロジェクトArcanamusica、初のイベントパフォーマンス 物語の世界観と確かな歌唱力を見せる

Arcanamusicaレポート

 11月6日、池袋で行われた『アニメイトガールズフェスティバル 2022』にて、メディアミックスプロジェクト・Arcanamusica(アルカナムジカ)がステージイベントを行った。

 集英社とavexによる“多”次元メディアミックスプロジェクトとして今年2月にスタートしたArcanamusicaは、これまで11曲のシングルをリリースし、7月から漫画とボイスコミックでストーリーが展開している注目のプロジェクトだ。今回の『AGF』出展ステージの出演がプロジェクト初のイベントとなり、熱心なファンが会場に集まった。

 この日登壇したのは、波多野翔(川和静/RiZ 役)、ROβIN(苺宮楽ノ進/闇殿«ダークパレス» 役)、坂上晶(五十島慈/いっくん役)、白石康介(渋吉陸玖/シブキチ役)、幡野智宏(獣条一希/レッジェ役)の5名。それぞれキャラクターのイメージに沿った衣装に身を纏い、笑顔で登場した。

 まず、MCの坂上からArcanamusicaの設定と物語の冒頭が解説された。人の抱える秘密と隠された二面性がテーマであり、物語の中では“アルカナムジカ”という配信アプリ上で、キャラクターたちは“アルカナネーム”という別名で歌い手として活動している、という謎めいた設定に、観客も興味津々。本編は始まったばかりということもあり、「今追いかければ古参ですよ!」「最古参だ!」とキャスト陣も客席を盛り上げる。

 タロットをモチーフにしていることもあり、それぞれの人物に“正位置”と“逆位置”2つのソロ曲が用意されている。イラストもそれに合わせ2パターン用意され、同じ人物とは思えないほど印象の違う表情を携えているのが印象的だ。

 続いて、ソロ曲全10曲をワンコーラスずつ歌い繋いでいく『AGF』スペシャルメドレー「Arcanamusica AGF SPECIAL STAGE」が披露された。初のライブパフォーマンスということもあり少し緊張した面持ちも見られたが、ライブが始まるとその表情はガラリと変わり、観客をArcanamusicaの世界観へ引き込んでいく。

 まずトップバッターを務めたのはRiZで、歌われたのは「My role」。日常に潜む鬱屈した苛立ちや諦めを抱え込みながら歌う姿に、こちらの胸も締め付けられるようだ。2曲目は闇殿«ダークパレス»「その魔王殿は危なげな程に刹那的—。」。高い歌唱力だけではなく体全体を使い、会場を享楽的で妖しい空気で満たしてゆく。続いてはいっくん「フィルム越しのモノクローム」。美しい歌詞をまっすぐな眼差しで静かに歌い上げる姿は、包容力を感じさせ大人の魅力で満ちている。打って変わって明るく弾けるようなステージングを見せたのはシブキチ。「もっともっと盛り上がっていくよ! みんな、俺と友達になって!」とシャウトし始まったのは「You are my friend!」。ステージを縦横無尽に動き回り、キュートな表情を見せる。拍子や手を左右に振る振り付けで会場の熱量も上がっていった。熱量をそのままにレッジェが登場。「テノヒラダンサー」は疾走感ある難曲だが、楽曲の持つ自信に溢れたレッジェの表情をそのままに圧倒的な歌唱力で歌い上げていく。

 歌い終わったレッジェが背中を見せ、モニターに映し出されたカードのイラストが次々と逆位置に変わっていく。「ストレイアンサー」のイントロが流れると、表情を豹変させながら振り返るレッジェ。苛立ちや悲しみの感情を編み上げるように歌い上げるパフォーマンスは圧巻だ。次にシブキチが「Are you my friend…?」を切なげな表情で歌う。とてつもない孤独を感じさせる表現に、客席も圧倒されていく。続いてのいっくん「翡翠色のロゼアモール」は、先ほどの静かな印象とは一味違う艶やかな表情で、慟哭や苦悩が表現される。大人ならではの二面性を感じさせる見事なパフォーマンスである。二面性という意味で一番激しさを感じさせたのは闇殿«ダークパレス»「その魔王殿は悲しい程にルルルルル—。」ではないだろうか。正位置曲で見せた妖しさは封印され、重苦しい何かを抱えていることがが痛いほどに伝わる歌唱だ。最後はRiZの「My song」。音楽を愛し、音楽に救われてゆく、希望と愛に満ちた明るいボーカルが高らかに鳴り響いていく。楽曲とボーカルの持つ熱量が、会場にも伝染し大きな拍手でメドレーが締め括られた。

 それぞれ違うボカロPによってつくられ、個性に寄り添った楽曲ではあることに加え、同じメロディをアレンジと歌い手の高い表現力でまったく違うものにしてしまうという、音楽そのものの面白さが伝わる秀逸なメドレーであった。

 告知に続いて、9月にリリースされたArcanamusicaのテーマソングである全員曲「invisible world」がフルコーラスで披露された。確かな歌唱力を持つ5人によるパフォーマンスはまさに圧巻。ハーモニー、ラップ、フェイク、シャウトと、次々に高度なテクニックが繰り出されていく。そのレベルの高さはスタートしたばかりのコンテンツとは思えないほどだ。それぞれの尖った個性がバトルのようにバチバチと激しくぶつかり合い、その魅力がどんどん爆発していく様が聴いている者の心を高揚させていく。協調性はないがどこか一体感を感じさせ、客席とステージが一つになる。まさしく“アンセムソング”らしい熱量のライブであった。

 最後に来年発売となる1stアルバムの新情報が次々と発表となった。タイトルが『SPREAD』であり、“開く・広げる”という意味を持ち、タロットでは“カードを展開する“という意味であることも明かされた。Arcanamusicaの物語がどのように展開していくのか期待を抱かせる。何よりこの日、音楽によって輝く5人の姿がとても眩しく、彼らの今後がますます楽しみになるイベントであった。

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