北村匠海、DISH//の勢いを牽引するユースカルチャーシーンでの存在感 2022年の活動に見るバンドとしての好調ぶりも

 DISH//の快進撃が止まらない。その勢いを象徴することの一つが、彼らの代表曲「猫」のストリーミング再生回数が10億回(全バージョンのUGC含む合算累計)を突破した報せであった。この曲は、2020年にYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』で北村匠海が歌唱したことで大きな注目を集め、多くの人がDISH//と出会うきっかけになった楽曲だ。一時的に注目を集めただけではなく、長く愛され続けている楽曲であることが、今回の10億回再生という数値が証明している。

 また、各メンバーの活動もDISH//が新たな支持を得るきっかけとなっており、その中でも特筆すべきが、北村のジャンルレスな活躍だ。昨年、大ヒットを記録した主演映画『東京リベンジャーズ』は、彼の俳優としての代表作の一つとなり、既に続編の製作も決定している。昨年末公開の『明け方の若者たち』、今年4月公開の『とんび』と出演作が立て続けに公開されており、ゲスト出演した『ミステリと言う勿れ』や主演を務めた『名探偵ステイホームズ』などのドラマ作品を含め、次々と多彩な役に挑む彼の演技の幅は着実に広がっている。また北村は、複数回にわたりファッション誌『MEN'S NON-NO』の表紙も飾っており、同世代のファッションリーダーとしても高い支持を集めている。

 そして、北村が作詞を担当したDISH//の楽曲「Replay」が、2022年度『NHK全国学校音楽コンクール』の中学校の部 課題曲となったことも大きなトピックスとして挙げられる。この曲には、「巻き戻せない日々を、今この瞬間を、まだ見ぬ明日へ繋いでいく」という力強いメッセージが込められている。それは、今まさに青春の日々を過ごす中学生に向けたものであり、北村が綴るからこそ深い説得力をもって届いていると感じる。

DISH// - Replay [Official Video]

 振り返れば、DISH//の結成以降の歩みは、決して順風満帆なものではなかった。初期はグループの方向性を模索し続けてきた期間もあり、また、その過程ではオリジナルメンバーの脱退も経験した。それでも、平坦ではない道を懸命に歩み続けてきたからこそ今のDISH//があり、北村は、迷い葛藤し、時に挫折しながら重ねてきたこれまでの全ての日々は、一日も無駄になることなく明日へと繋がっていくことを、自らの経験を通して確信しているのだろう。実際に、北村が綴った青春の大切さを伝える渾身のメッセージは、同曲と共に全国の中学生たちに広まっていて、彼のオピニオンリーダーとしての次世代への影響力は日に日に高まっている。これまで述べてきたように、俳優であり、ファッションリーダーであり、オピニオンリーダーでもある北村は、現行のユースカルチャーシーンにおいて唯一無二の存在と言えるだろう。

 この記事の読者の中には、「猫」や、北村をはじめとする各メンバーの多彩な活動、発信を通してDISH//の存在を知った人も少なくないだろう。そして、そうしたきっかけから、DISH//の音楽活動に注目して、そのパフォーマンスに心を掴まれた人も多いと思う。他でもなく、筆者もその一人だ。そして、今回この記事で改めて伝えたいことは、今の彼らは、“ロックバンド”としての自信と誇りを獲得していくプロセスの中にある、ということだ。

 2011年12月25日に結成したDISH//にとって、2022年は結成10周年イヤー。現在4人は様々な挑戦を重ねながら、ファンと共にメモリアルイヤーを駆け抜けている。その幕開けを飾ったのが、昨年12月にパシフィコ横浜で3日間にわたり開催された『DISH// 10th Anniversary Live』であった。10月にリリースされたシングル『Replay』の初回生産限定盤には同公演のファイナル公演(MCを含む全楽曲映像)の映像が収録されており、筆者が特に感銘を受けたのが、各日にゲスト出演したはっとり(マカロニえんぴつ) 、OKAMOTO'S、あいみょんとの共演だった。この3アーティストは、過去にDISH//に楽曲を提供しており、いわば彼らにとって盟友とも呼ぶべき存在である。同ライブを通じて、DISH//は、そうした最前線で活躍するミュージシャンからのめいっぱいの愛とリスペクトを受けていることが確かに伝わってきた。そして、その刺激的な関係性の中で今日に至るまでバンドとして絶え間なく成長を重ねてきたDISH//の歩みを思い返した。

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