idom、トップバッターにして観客の心を掴んだ『CLAPPERBOARD』 伸びやかな歌声聴かせたステージに

idom、『CLAPPERBOARD』レポ

 idomが、SHIBUYA CLUB QUATTROにて10月11日に開催された『CLAPPERBOARD -Enjoy the weekend!- vol.10』に出演した。同イベントにはidomのほか、クボタカイ、Myuk、八木海莉もラインナップ。気鋭のアーティストたちのトップバッターを務めた。

 コロナ禍で音楽制作を始めたidomにとって、これまで観客の前でパフォーマンスする機会が全くと言うほどなかった。この日集まった観客は、自然体でふらりとステージに現れた彼を大歓迎。まずは“目覚めろ”と呼びかける、一曲目にふさわしい「Awake」、そして徐々に客席をヒートアップさせながら笑顔を見せた「Moment」、一気にテンポを上げるライブにぴったりな「Freedom」と代表的なナンバーをメドレーで披露していく。伸びやかな歌声をリラックスした表情で聴かせ、客席からは思わず歓声も。

 「調子はどう? 今日、ここに立てて嬉しいです。みんな、準備できてる?」。英語混じりのMCで客席をさらに盛り上げるidom。夏の思い出を懐かしみながらもやや気怠げな雰囲気の「soap.」、どこか甘くidomの世界感に誘い込むかのような 「i.d.m.」と続けていく。グルーヴを感じる歌声だが、時として無垢さや透明感という言葉も当てはまるような不思議な雰囲気がある。

 二度目のMCでは、実はバンドセットでライブをやるのはこの日が初めてだと明かす。だが、すでにバンドメンバーとの息はぴったり。時に目配せをしながら、リズムに乗って次々と楽曲を繰り出していく。そして、idomの名前を一気に広めたドラマ『競争の番人』主題歌「GLOW」へ。バンドセットの映える同楽曲は、idomの言葉を借りるならば「弱っている時に勇気づけられる」一曲。サウンドの壮大さと歌詞の繊細さが心地よくも切ない。リスナーを勇気づけるという意味では、続く「帰り路」も同様だ。シンプルなトラックに乗せて、寄り添うようなボーカルで会場をしっとりとした雰囲気に変えていく。

 そして最後には「二人」を歌唱。切ない失恋と夢を追い求める決意を感じさせる歌詞に合わせ、空に手を掲げながらロングトーンを響かせる。思わずシンガロングしたくなるのを堪え、オーディエンスはその歌声に聴き入っていた。

 登場時と同じように、リラックスした表情でステージを降りていったidom。トップバッターながら良い意味で気負った様子はなく、観客の心をしっかりと掴んでいた。歌声の良さはさることながら引き込ませるような彼のパフォーマンスに客席からは鳴り止まぬ拍手。早くも彼の次のステージを期待する様子が窺えた。

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