KREVA、観客へ笑顔と感動届けた盛大なパーティ 三浦大知、久保田利伸、藤井隆らゲスト迎えた『908 FESTIVAL 2022』

 心地よい歌の余韻の中で、バトンは一周しKREVAの元に戻ってくる。衣装を柄のド派手なセットアップへと着替えたKREVAが「基準 ~2019 ver.~」でパーティに再び燃料を注ぐ。ソリッドな演奏に絡む、高速ラップ。常に第一線で身体を張り続け、あるいはいわゆる老害のようにシーンに蓋をすることもなく、言葉を、音を、探求するこの人こそが“基準”。あまりに高い基準である。

 曲を終え長い拍手が鳴り止んだ後、KREVAは改めて観客が今日このような状況でこの場を選んでくれたことに感謝を述べた。「みんなの拍手がちゃんと声に聞こえます。ありがとう、盛り上がってくれて」。そしてパンデミック以降封印していたと言う「パーティはIZUKO?」をプレイ。フックのコール&レスポンスの部分に観客は声の代わりに両手を挙げて応える。その光景は、もしかしたら声を出しているときのものよりも美しいのではないかと、続く「人生」「居場所」を聴きながら噛み締めていた。KREVAにとっても、そのほかの出演者にとっても、集まったたくさんの観客にとっても、この瞬間がパーティであり、人生であり、居場所なのだという強い確信が胸に湧き上がる。この3曲を聴いているときがこの日の最もエモーショナルな時間だった。

 しかし、そこで終わらないのが今回の『908 FES』と言えるのかもしれない。ステージではこの日の出演者総出での小芝居が演じられ、一気に会場の雰囲気を切り替える。些細な間の取り方まで入念に打ち合わせされていたのではないかと思うほど完璧で、笑顔と感動が同時に押し寄せる。過去に三浦大知が久保田利伸の「LA・LA・LA LOVE SONG」を歌った逆バージョンとも呼べる演出で、三浦大知の「Your Love feat. KREVA」を久保田が歌い、最終的には三浦もKREVAも参加していよいよこの日も大詰めだ。KREBandのメンバー紹介を経て、最後は「音色 ~2019 ver.~」で観客の心の声とともにKREVAは声を響かせ本編を締めくくった。

 アンコールに応えたKREVAはライブのできなかった期間を振り返り、「Finally」を披露。ライブという空間は出演者が一方的に何かを作り、与える場ではない。観客と出演者が与え、与えられる。それをそれぞれが持ち帰り、また何かの原動力に変えるのだ。ライブができなくなってしまった期間でもKREVAが前進を続けてこれたのは、きっとこれまで数えきれないほど彼が与え、受け取ってきたからなのではないだろうか。

 ラストは「LOOP END / LOOP START」。全て灯った客電に照らされているのは、それをKREVAに与え、与えられ続けてきた、そしてそのループが再び動き出すのを待ちに待っていたファンたちだ。最後、出演者全員が現れ深々と頭を下げたところにこの日一番の拍手が降り注いでいた。

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