Deep Sea Diving Club、土岐麻子とのタッグでいよいよ全国区へ フィーチャリングごとに見せる多彩な表情

DSDC、土岐麻子とのタッグで全国区へ

 福岡を拠点に活動する4人組バンド・Deep Sea Diving Club(以下、DSDC)が、シンガーソングライターの土岐麻子をフィーチャーした新曲「Left Alone feat.土岐麻子」をリリースした。これまでDSDCは、同郷のラッパーRin音や、origami PRODUCTIONSのもはや代表格であるMichael Kaneko、そしてRin音やDSDCと同じく福岡出身のシンガーソングライターkiki vivi lilyをゲストボーカルに迎えた、いわゆる「フィーチャリング3部作」をリリースし、聴き手の裾野を広げると同時に自らの音楽性も拡張させてきた。土岐とのコラボ曲となる「Left Alone」も、DSDCのさらなる飛躍の足がかりとなるのは間違いないだろう。

 先に挙げたアーティストはもちろん、yonawoや藤原さくら、クボタカイ、神はサイコロを振らないなど、様々な音楽性の良質なアーティストを次々と輩出している福岡。DSDCもご多分にもれず、そんな「音楽の聖地」における期待のニューホープだ。谷颯太(Vo/Gt)、山口県下関市出身の大井隆寛(Gt/Cho)が福岡で出会い、そこに、以前に谷と同じミュージックバーで働いていた鳥飼悟志(Ba/Cho)、出原昌平(Dr/Cho)が加わり2019年に現在の体制となる。そして翌年10月に<Beacon LABEL>から配信シングル「cinematiclove」をリリース。早くも福岡のインディーズシーンで頭角を現した。

 昨年5月には、Rin音を迎えた2ndシングル「フラッシュバック'82」をリリース。このコラボはRin音がInstagramのストーリーに「誰か一緒にコラボやりませんか?」と投稿していたのをメンバーが見つけ、DMで直接コンタクトを取ったのが実現のきっかけだったという。ニューソウル風味のレイドバックしたリズムを包み込むようなシンセサウンドが心地よかった「cinematiclove」のテイストを残しつつも、歯切れ良いリズムギターがグルーヴを牽引するこのファンキーチューンは、スモーキーな谷の歌声ともはや風格すら漂わせるRin音のラップが絶妙なバランスで混じり合った。

Deep Sea Diving Club - フラッシュバック'82 feat. Rin音 (Official Video)

 2カ月後にリリースされた配信限定シングル「SUNSET CHEEKS」は、Michael Kanekoとのコラボ曲。もともとギターの大井がMichael Kanekoの大ファンで、「せっかく(コラボを)やるなら、やりたい人とやりたい」との思いから声をかけ実現した。アナログレコードのスクラッチ音から始まるこの曲は、囁くようなMichael Kanekoの歌声と朗々と歌い上げる谷の声のブレンド具合が肝。カセットテープがヨレたような、ひしゃげたシンセフレーズがどこかトロ・イ・モアあたりを彷彿とさせる。

Deep Sea Diving Club - SUNSET CHEEKS feat. Michael Kaneko(Official Video)

 さらに10月には、kiki vivi lilyをフィーチャーした「Just Dance」をリリース。以前のインタビューによれば、この曲は「女性とコラボしたことがないねって話になって、お声がけさせていただいた」(谷)とのこと(※1)。何のてらいもない、こうした自然体のつながりが福岡らしいともいえる。楽曲はというと、疾走感あふれるリズムとは対照的に、たゆたうような切ないメロディが胸を締めつける。谷とkiki vivi lily、両者のソロパートもアプローチの違いが垣間見れて興味深い。

Deep Sea Diving Club - Just Dance feat. kiki vivi lily(Official Video)

 そして今回リリースされたのが、土岐麻子を迎えた新曲「Left Alone」である。前述の「cinematiclove」や、「フィーチャリング3部作」を含む全16曲入りの1stフルアルバム『Let's Go! DSDC!』を3月にリリースしたDSDC。バンドとしての集大成と新機軸を、同時に打ち出した彼らがそれを経て作り上げたこの「Left Alone」は、前シングル「フーリッシュサマー」と同様に燦々と降り注ぐ福岡の陽光をそのままサウンドに焼きつけたような仕上がりだ。

 高らかに鳴り響くシンセドラムのフィルで幕を開け、きらびやかなシンセサウンドとカッティングギターが空間を埋め尽くす。そのサウンドスケープは、現体制での活動歴が数年とは思えぬほど緻密に練りこまれている。タイトなドラムスとシンセベースに導かれるメロディは、「ここぞ」というポイントでヒネリを加えたコード進行の上を滑空する。  歌詞は、新しい世界へと旅立っていく恋人に対し、取り残されてしまったような気持ちを“tide pool”(引き潮によって岩場に出来る潮溜り)に喩えたところが秀逸。凛とした美しさをたたえる土岐の歌声と、どこかやるせなさを内包する谷の歌声が、恋人同士の「葛藤」や「すれ違い」を、ハモリとユニゾンを巧みに使い分けながら見事に描き出している。夏から秋へと移ろう季節の変化にも寄り添ってくれるような、センチメンタルな余韻を残す聴き心地も味わい深い。

Deep Sea Diving Club - Left Alone feat. 土岐麻子(Official Video)

 「TENJIN NEO CITY POP」をコンセプトに掲げ、福岡は天神から「ローカルシティポップ」を発信していたDSDC。「シティポップの女王」と言われる土岐とタッグを組み、いよいよ全国区での活躍が期待されるDSDCの動向は、今後ますます見逃せない。

※1:https://lp.p.pia.jp/article/series/239282/239283/index.html

■リリース情報
Deep Sea Diving Club
「Left Alone feat.土岐麻子」
2022年9月28日(水)配信リリース
配信はこちら

■ライブ情報
『SEA SIDE PARTY vol.1』

12月1日(木)福岡graf
ゲスト:UEBO、えんぷてい
OPEN 18:30 START 19:00
前売り3500円/当日4000円

12月7日(水)新代田FEVER
ゲスト:macico、THREE1989
OPEN 18:30 START 19:00
前売り3500円/当日4000円

HP先行 エントリー期間:9月28日(水)0:00~10月12日(水)23:59
https://l-tike.com/st1/dsdc-ssp1

■関連リンク
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