桜井和寿とGAKU-MCのウカスカジー、MIFAの理念を形にした熱気溢れる豊洲PITライブ 26年ぶりEAST END×YURI再集結も実現

ウカスカジー、MIFA8周年記念ライブレポ

 Mr.Children 桜井和寿とGAKU-MCのユニット・ウカスカジーが所属し、音楽とフットボールを通じて様々なコミュニケーションを創造する団体・MIFA。9月18日の日曜日、東京・豊洲のMIFA Football Parkでは同施設の8周年のお祭りが、そして隣接する豊洲PITではウカスカジーのライブが開催された。台風14号の接近で天気はあいにくの雨だが、パークでは子供や親子連れがフットボールとアトラクションを楽しみ、PITでは抽選で全都道府県から選ばれたというファンが音楽を楽しむ。MIFAの理念が形になった、熱気溢れる素敵な1日だった。

 オープニングアクトのDJダイノジが、得意のJ-POPメドレーで盛り上げ、ユーモラスなMCと体を張ったダンスパフォーマンスでみんなを笑顔にする。ウカスカジー「HAPPY HOUR」のダンスステップも練習したので、このあとこの曲が登場しても全員予習はばっちりだ。およそ30分の熱演のあと、満を持してウカスカジー登場。「勝利の笑みを 君と」のギターインストに乗せてゆっくりとメンバー登場、そして一気にアクセル全開と思いきや、1曲目はスローチューンの「My Home」。〈戻ってくる場所 それがここにあるから〉。8年分の思いを深く熱い歌に乗せる桜井和寿、そして味わい深いトランペットを吹くGAKU-MC。意表を突く、しかし心をぐっとつかまれるオープニング。

ウカスカジー(写真=樋口 涼)
GAKU-MC

 「MIFA秋祭り、スタートです!」とGAKUが叫び、「ようこそ!」と桜井が合いの手を入れる。曲は、明るい一体感に包まれるミドルチューン「Anniversary」。そしてぐっとテンポを上げて拳も上げて、勇壮に盛り上がる「We are not afraid」へ。声は出せずともリズムに合わせたクラップとウェーブの手振りで音を支える観客に、「拍手が鳴りやみません」とGAKUが煽る。久々のスタンディングで見るウカスカジーは、臨場感と熱気が最高だ。

「大変な天気の中、ご来場ありがとうございます。今日は熱く熱く行きたいと思います」

 台風の影響で九州地方からのファン数名が来れなくなってしまったことを悔やみつつ、「その人たちの分まで思い切り楽しんでください」と桜井が言う。曲は「PLEASE SUMMER BREEZE」、そして「言葉」。アコースティックギターとウッドベースの音色があたたかく響き、AORめいたサウンドが爽やかな風を運んでくる。ラブソングでありながらメッセージソングでもある、ウカスカジーらしい深みあるラブリーな楽曲たち。

ウカスカジー(写真=樋口 涼)

 ウカスカジーのライブには、二人それぞれのソロコーナーがある。まずはGAKU-MCから、代表曲の「LIFE IS A JOURNEY」。今日が旅立ち、残った人生最初の日。素敵な歌詞と、彼が世界旅行をした際の雄大な映像、朴訥としたトランペットの響きがいい。今年から挑戦し、ステージでトランペットを披露するのは今日が初めてで、「ラッパーがラッパを吹いたらかっこよくないですか?」と笑う、GAKU-MCはいつもユーモアに溢れてそして生真面目だ。少年の頃にラップミュージックに出会って人生が変わったエピソードにも、経験者ならではの説得力が宿る。続く「グッジョブ」も、人生経験を重ねた人ほど心に響くだろう応援歌で、アコースティックギターを弾くラッパー、唯一無二の個性が光る楽曲。

 続いては桜井和寿の登場だ。「日頃口ずさんでいる曲を」と言って歌ったのは、GAKU-MCのカバー「月が綺麗です」。夏目漱石が「I Love You」をそんな言葉で和訳したという説を紹介しながら、「それを歌にしようとしたGAKU-MCが素晴らしいと思う」と桜井。音楽を通した二人の信頼度が伝わってくる。そして2曲目は仲井戸麗市のカバー「ティーンエイジャー」。楽曲紹介に合わせて、「GAKUと会っているといつも子供に戻ったような気がする」という言葉にも、二人の関係値が見えて微笑ましい。桜井の歌もこの歌を聴いていた十代の頃に戻ったようにみずみずしく、個人的にこの日の彼のベスト歌唱の一つと感じた。

ウカスカジー(写真=樋口 涼)
桜井和寿

 桜井の事務所の若いスタッフが、この日の楽屋に入籍報告をしに来たという。MIFA Football Parkを始めて8年、そこで出会ったカップルが結婚した例もあるという。「そんな方たちに贈ります」という「Celebration」は、桜井の力強い愛情あふれる歌がリードする、明るいラテンのリズムに乗ったウエディングソング。そして「青春FOREVER」は、GAKU-MCのあたたかくもキレのいいラップがリードする青春賛歌。あの頃を振り返りつつ、今も変わらない思いを綴る、軽やかに前進するリズムに合わせて手を挙げる観客たち。いい雰囲気だ。

ウカスカジー(写真=樋口 涼)

 SUNNY(Key/Cho)、藤谷一郎(Ba)、脇山広介(Dr)、沼能友樹(Gt)。頼れるメンバー、バンドアミーゴと、コーラスアミーゴならぬクラップアミーゴと名づけた観客たち。声を出せない代わりにクラップで盛り上げる、「その熱い思いは伝わってます」という言葉に嘘はない。そこにMIFAのキャラクター・ミファンダ、ミソラ、レッシの3人、DJダイノジとダンサー笑笑子とジャイトラも加わり、ミファンダの曲紹介で始まったのはやはりこの曲「HAPPY HOUR」。オールディーズなロックンロールのリズムに乗せて、観客も揃ってステップを踏む、幸せを絵に描いたような情景に頬が緩む。まさにハッピーアワー。

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