YOASOBI、初の海外フェス出演で世界へ 88risingがフックアップする“アジアを代表するアーティストとしての魅力”

 今回YOASOBIを主催フェスに招いたことも、同様の理由だろう。日本では社会現象を巻き起こすヒットを生んだものの、海外にはまだ伝わりきっていない“アジアを代表するアーティストとしての魅力”を、フェスに招くことで世界に伝えたいのだろう。そもそもYOASOBIは日本だけの活動に留まるつもりはなかったと思う。以前から代表曲を英語詞にしたバージョンをリリースするなど、自身の音楽を世界に広めようとしていた。Spotifyが発表した「2021年海外で最も再生された日本のアーティストランキング」では1位を獲得している。

YOASOBI / Into The Night (「夜に駆ける」English Ver.)

 しかしYOASOBIの音楽性は、海外のトレンドとは全く違う方向性だ。コンポーザーのAyaseがボカロPとして活躍していたこともあり、音色からはボカロ曲の影響を色濃く感じる。そこに王道のJ-POPに近い曲展開やikuraの歌声が乗ることでYOASOBIならではのポップさが生まれている。ボーカロイド曲とJ-POPという日本の文化や特性が、綺麗に混じり合い新しい音楽になっているのだ。MVは基本的にアニメーションで作られており、すでに世界で評価されているアニメーションなど日本のエンターテインメントやカルチャーもふんだんに取り入れながら、YOASOBIは作品を作っている。

 つまりYOASOBIは「日本だからこそ生まれた個性的な音楽」で、日本以外では存在しないタイプのポップスということだ。だからこそ88risingはYOASOBIをさらに広める手助けをするため、主催フェスにブッキングしたのだと筆者は考える。フックアップされたからには、あとはYOASOBIが『HEAD IN THE CLOUDS』のライブでしっかり爪痕を残すことに期待したい。初の海外公演は、YOASOBIが日本だけでなく世界で活躍するアーティストへと進化するきっかけになるかもしれない。

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