清水美依紗、弱い自分も受け入れ歌の力と共に立ち上がる決意　涙の先に見据えるものとは

明るい私も、暗い私も、もっと受け入れていい

——そして、今年の4月に「High Five」でメジャーデビューしました。ご自身にとってはどんな曲になってますか。

清水：「Starting Now 〜新しい私へ」を歌った時から、メジャーデビューするのが夢だったんです。自分のオリジナルの曲を出すことは初めてだったので、色々なドキドキがありました。「Starting Now 〜新しい私へ」の時に経験した気持ちを「High Five」に込めているので、本当に大事な曲ですね。

——どんな気持ちを込めてますか。

清水：「Starting Now 〜新しい私へ」は応援ソングです。自分が最前に立って、みんないくよ！って鼓舞するような曲ですし、そういうふうに歌ってきたのですが、本当は、自信がある自分もいるけど、自信がない自分もいて……。

——「自信がない美依紗」もいる？

清水：いますいます。たっくさんいます（笑）。

——明るくて笑顔の美依紗さんのイメージの方が強いですよね。だから、「High Five」のMVに全身真っ黒の衣装を着た美依紗さんが出てきた時は驚きました。

清水：明るい私も、暗い私もどっちも同じ自分で、それをもっと受け入れていいんだよという。ありのままの自分を受け入れて、みんなで手を取り合って、前を向いていこうという楽しい楽曲なんですけど、“ヤミ（闇）ーシャ”って呼んでいる、闇を抱えた美依紗がメインになっている曲なんです。

——サウンド的には明るくてカラフルなダンスポップですよね。

清水：そうですね。曲自体は楽しいんですけど、弱さも受け入れて、見せていいんだよっていうイメージのMVにもなっていて。歌詞も前向きですが、しっかり弱さも見せているので、今まで見せてこなかった自分を「High Five」で初めて見せることができました。本当に私にとって大事な1曲です。

——この曲で闇を抱えた美依紗さんが描かれているように、人は誰しも両面を持っていますよね。

清水：そうなんです。どっちもいていいというか。少しずつ、シャイな、闇を抱えている美依紗も普段から出せるようになってきて。「High Five」をリリースしてから、「そんな美依紗ちゃんも大好きだよ」っと言ってくださる方も増えたので、どんどん出しちゃおう！という感じです。

歌で落ち込んでてしまうこともあるけど、這い上がるのにも歌の力がいる

——そして前作から4カ月ぶりとなる2ndデジタルシングル「Niji」がリリースされました。

清水：タイトルの「Niji」は多様性を意味する虹でもあって。自分の色や個性を出すという意味だけではなく、LGBTの象徴としての虹も表している曲なので、歌詞を作るのがとても大変で、どういうふうに伝えればいいのかが難しかったです。そこで思い出したのが、夜にかかる虹でした。夜に虹がかかることは絶対にないけれど、不可能なことも可能にできるんだという強いエナジーソングとなっています。

——美依紗さんは作詞にも参加していますが、〈月明かりだけの部屋で　ひとり震えてた〉というフレーズから始まります。

清水：弱さから始まってます。自分が思い描いている夢が遠くにあるけど、色々な失敗を抱えて、一歩を踏み出すのにすごく震えている。勇気が必要な情景を思い描いています。そこからサビに向けて這い上がっていくような歌詞になっています。

——「High Five」の〈一度きりの人生じゃない 謳おう〉に続き、この曲にも〈自分だけの色を描く〉という決意表明が込められてます。

清水：人生って上がったり下がったりするものなので、他の人から見たらそんなことないと思われるかもしれないけど、自分の中では結構、落ち込むことが多い性質だと思っています。そこから這い上がるためには、やっぱり自分の好きな歌が必要不可欠。歌で落ち込んでしまうこともあるけど、這い上がるのにも歌の力がいる。絶対に這い上がってやろう、私はいくんだという強い思いが自分の本心なので、歌詞を書いていくとそれが自然と出てきます。

——現時点では、自分の色は何色ですか？

清水：歌詞を書いてる時も考えてました……。「High Five」の明るい方の美依紗が少し虹色っぽい衣装だったんですけど、あのようなカラフルな自分もいるし、少し暗い自分もいるし。でも、周りからは「黄色だね」と言われます。

——うん、わかります。太陽のイメージ。

清水：プレゼントでもひまわりを多く頂きます。自分としては黄色も大好きなんですけど、暗い色の時もあるし、どんな色でもあるなって感じます。いろいろな色に染まりたいなと思います。

——〈涙の後にかかった虹の先にある未来〉とはどんなイメージですか？

清水：最近、泣くたびに自分って生きているなって感じることが本当に多くて。泣き虫で、よく泣いてるんですけど（笑）。

——それは悔し涙？

清水：いや、ふとしたことで泣いたりするんですよ（笑）。電車の中で手を繋いでいるおじいちゃんおばあちゃんを見て、ほろっときたりするし、自分自身に対して、こんな自分嫌だなと思って泣くこともあるし、人のために泣くこともあります。そうやって、感情が溢れてくるたびに生きているなと感じるし、虹を見た時に本当に“生”を感じて。虹には色々な色があるように、色々な肌の人がいるし、色々な体型、顔、性格、性を持っている人がいる。そうやって聴いてくれた人たちが持っている、それぞれの色で這い上がってもらいたいという気持ちも込めました。だから、涙の先にあるのは“生”ですね。

——歌入れはどうでしたか。サウンド的にはEDM POPになってますよね。

清水：EDM系は普段聴かないので、自分が歌っている姿が想像できなかったんですけど、新しい自分を発見した感覚になりました。エナジーがみなぎって、内側からパワーが出てくるような強い曲だなって。歌詞を書いてる時も感じていたんですけど、実際に歌ってみると本当に気持ちよくて。それこそライブで歌ってる自分を想像できました。この曲、ライブで歌ったら絶対にいいだろうなって思いながら、アリーナで歌ってるイメージでレコーディングしましたね。

——野外のスタジアムも似合いそうですよね。

清水：いつか絶対に歌いたいです！

——最後に、近い目標を聞いてもいいですか。昨年末にTwitterで「漢字のミイシャも来年紅白目指します」とつぶやいてましたよね。

清水：『紅白』にはいつか絶対に出たいです。その前に、MISIAさんと共演したいですね。清水美依紗って本名なので、「漢字のミーシャです」って挨拶したいです（笑）。あとは、ライブがやりたいですね。今、ちょっとずつ人前で歌うことが増えてきて。お客さんのリアルな反応を見るのがとても楽しいので、自分の単独ライブをやりたいですし、ミュージカルももっと挑戦したいです。

——今年9月にはミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター～北斗の拳～』が控えています。美依紗さんはマミヤ役ですよね。

清水：はい！　ずっとプリンセスの曲を歌っていた子が女戦士になる（笑）。自分でもびっくりしてます。歌はもちろん、演技もダンスもとても楽しくて。音楽は自分らしさが強い表現で、ミュージカルは自分とは違う役柄でその世界を生きる。歌手の美依紗と、ミュージカルで歌ってる美依紗の違いも、どっちもやることで楽しんでもらえるかなって思いますし、自分自身も楽しんでいます。だから、歌手としては色々なジャンルに挑戦していきたいですし、ミュージカルでも色々な役を演じていきたいです！

■リリース情報
『Niji』
（作詞：清水美依紗、zopp 作曲：川口大輔 編曲：TeddyLoid）
リリース日：8月24日（水）

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